『青い影』プロコル・ハルム 1967年
プロコル・ハルムのゲイリー・ブルッカー氏が2023年2月19日に癌で亡くなったとのこと。
ご冥福をお祈りします。
彼が作曲(マシュー・フィッシャーとの共作)して歌った『青い影』は、ポップ・ミュージックの歴史に残る名曲として、今後も聴かれ、演奏され、影響を与え続けてゆくことでしょう。
私自身がそういう年代なので仕方ありませんが、子供の頃に憧れたアーティストが逝くのは切ないものです。
表題曲『A Whiter Shade of Pale/青い影』は、音楽好きなら誰もが聴いたことがある超有名曲です。
原曲を聴いたことが無くても、この下ってゆくコード進行(カノン進行)は最近の曲でも多く耳にすることがあるでしょう。
ジョン・レノンが絶賛したとか、荒井由実(松任谷由美)が影響を受けたという情報が無かったとしても、誰もが名曲だと感じるのではないかと思います。
歌詞については、船酔いの歌だとか、いろいろなコメントを見たことがありますが、私としては、”浮気を疑って冗談めかしてカマをかけたのに相手の女性から否定してもらえなかった哀しい男の歌”だと解釈しています。
ただ、こう言うのもなんですが、歌詞はどうでもいいです。
1音目が奏でられた瞬間から心を持っていかれてしまうオルガンの響きに乗せて、それぞれが勝手な思いを描いてロマンチックな気分になればよいのです。
プログレッシブ・ロックのバンドとして紹介されることのあるプロコル・ハルムですが、このファースト・アルバムを聴く限り、この時点でのバンドの音楽志向はプログレではありません。
演奏は結構泥臭く、バンドの特徴であるピアノとオルガンもR&Bな感じです。
ギターも所々でギュンギュンいってます。
このアルバムは、彼らが「俺はこんなのが好きなんだけど、みんなはどうかな」とバリエーションを開いて見せている、試運転段階の作品という感じでしょうか。
これからどうなるのかを既に知っている側としてはアレですが、シリアスにならずに「いいねそれ」とか言いながら聴ける感じです。
シリアスで荘厳なものを期待するのであれば、次作以降から聴き始めても良いかもしれません。
日本ではアルバム・タイトルにもなっている『A Whiter Shade of Pale/青い影』ですが、イギリスで発売されたオリジナル盤にこの曲は入っていませんでした。
(Spotifyでは、オリジナルUK盤のリマスターがあがっています。)
CDの場合、ほぼこの曲は組み込まれていますが、念のためご注意を。
Spotifyで『青い影』を聴くためには、シングルか2019年のベスト盤を選んでみてください。
『50th Anniversary Stereo Mix」というバージョンもありますが、原曲のボヤっとした感じをベースを引き立てることで改善したかったのかもしれませんが、テンポが少しゆっくりになって、歌にも情感が入りすぎている感じが私の好みではありませんでした。
聴くなら、音の輪郭がボケていることも含めて、オリジナル・バージョンです。
投稿:2020.3.31
修正:2023.10.28
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