『オープン・ユア・アイズ』イエス 1997年
集合離散を繰り返し、なかなか結晶することのないイエスが、なんだか吹っ切れたように明るく振舞ったアルバムです。
このアルバムで主導権を握ったのは、イエス設立メンバーであるクリス・スクワイヤと若きマルチ・プレーヤーのビリー・シャーウッドだったそうです。
実力者揃いのバンドで、重鎮と若手が力を合わせたわけですから、楽曲は悪くありません。
どの曲もちゃんと作られていて、気持ちの良いロック・アルバムです。
それぞれの楽器演奏はもちろんですが、特にコーラスは流石という感じです。
クリス・スクワイヤというベーシストは、その姿からして大好きなので、彼がリードしたというアルバムを悪く言いたくはないのですが、このアルバムで何がしたかったのか、ちょっと分かりませんでした。
もちろん聴く側の我儘なのですが「このメンツならこれくらいはやるでしょう」という感じで、予想の上を行かない残念さを感じてしまいました。
アルバムのメインは、1曲目の『New State of Min』とラストの『The Solution』だと思うのですが、個人的には5曲目の『Fortune Seller』の演奏に初期のイエスを少し感じて嬉しくなったりしました。
日本盤CDでは、なぜかラストの大曲『The Solution』の前に『Open your Eyes』のラジオ・エディットなるものが挿入されているのですが、余計なことをしたものです。
90年代イエスが好きな方にとっては決して悪くない出来です。
でも、古いファンの方や新しく聴く方へのおススメ順位は高く無いアルバムです。
ホント、このクオリティでも高評価にしずらいのですから、大変な看板を背負ったバンドです。
投稿:2020.3.28
修正: 2023.10.25
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