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レインボー聴くなら、このアルバム 5選

還暦を迎えるオヤジが「昔好きだったアーティストを今の感覚で聴き直す」というテーマで、これまで好きなバンドを取り上げてきましたが、今回はレインボーです。
レインボーを聴き直しているのは、(少し前にエレキギターを買ったのですが)、ギターで弾けるようになりたかったのがリッチー・ブラックモアの曲が多かったからです。
ギターの方は早々に挫折しておりますが、聴く方は相変わらず好きなのです。

レインボーは、ディープ・パープルを辞めたギタリストのリッチー・ブラックモアが「自分の好きにやるんじゃー」と始めたバンドなので、良くも悪くも彼のエゴで成り立っています。(リーチー・ブラックモアズ・レインボーと名乗っていたこともありました。)
それが良い方向に作用したり、そうでもなかったりして、その度に頻繁にメンバー・チェンジを繰り返すのですが、いずれにしても彼の責任です。

スタジオアルバムは8作ですので、全部聴こうと思えば聴けますが、まあまずはこの5作を聴いてもらえたらと思うわけです。

私にとっては、ハードロックの教科書とも言える王道バンドですし、リッチー・ブラックモアはギタリストとしてもランキングから外さないほど評価しているのですが、世の中的にはそこまででも無いのかもしれません。

それもこれも、アメリカで人気が無いのが原因なのでしょう。
アメリカ人気は彼自身も狙って、そこそこうまくいったのですが、やはり人間性的にメディア・サービスがダメだったのかなあ・・・知らんけど。

ひとりのギタリストがエゴを出して追求したロックですが、実は悩みや迷い、試行錯誤も垣間見えるセレクトです。

レインボー聴くなら アルバム・トップ5

1.『虹を翔ける覇者/RAINBOW RISING 』(1976年)

レインボーの2作目にして、ハードロックの歴史的名盤。
ギターはリッチー・ブラックモア、ボーカルはロニー・ジェームス・ディオ、ドラムはコージー・パウエルという3人の個性が奇跡的な化学反応を起こしています。

この3人が揃っていた時期を「三頭時代」なんて呼んだりしますが、そんなに長く続いたわけではありません。
ただ、この時期にライブ・アルバム『オン・ステージ/ON STAGE』を残してくれていて、それがまた最高なのです。(なぜかSpotifyにありません。)この時期に来日もしていて、武道館の2階席から観ました。はぁ良かった。

『虹を翔ける覇者/RAINBOW RISING 』は、激しいロックに乗せてリッチー・ブラックモアの好きな中世音楽的なメロディをソロで展開することに成功した稀有な作品です。
高音でシャウトせず野太い声で朗々と歌い上げるディオの歌は、独特の物語を持った世界観にピッタリでした。
すでに他のバンドで評価の高かったコージー・パウエルでしたが、バス・ドラムを2つ並べて叩き出す重低音ドラムは彼の評価をさらに高めることになったと思えます。
それほど、この3人は相性ピッタリだったと思うのです。

他に追随するもののいない、特別にオリジナルなバンドが残した最高傑作です。

2.『バビロンの城門/LONG LIVE ROCK’N ROLL』(1978年)

「三頭時代」に残した、もう一枚の名盤です。
日本盤のタイトルを「ロックンロールよ永遠に」じゃなくて「バビロンの城門」にしたのは賢明でした。
間違いなくハードロックで、ロックンロールのアルバムではありません。

ギターはギュンギュン唸っていますし、ドラムもバカスカ爆音を響かせ、ボーカルはシャウトしまくっています。
しかも曲の出来が良い。
前作が桁違いだったために過小評価されてしまうこともあるでしょうが、名盤です。
ギターをコピーしたいと思えるアルバムとしたら、こちらのほうが上です。

3.『アイ・サレンダー/DIFFICULT TO CURE 』(1981年)

この前作「ダウン・トゥ・アース」の路線でヒットを狙ったアルバムですが、単純に良い曲が増えたのでこっちを上位にしました。

ボーカルがグラハム・ボネットからジョー・リン・ターナーという若々しいイケメンに代わりましたが、決してどこかが劣ったという感じにはならず、バンドとしてはむしろロックっぽくなって良かった気がします。
ドラムのコージー・パウエル脱退は残念でした。でも、音楽がこうなってしまうとたいして痛くありません。
当時流行していたLAメタルの流れに便乗したかったのかもしれませんが、どうしてもリッチー・ブラックモアがカラッとした雰囲気じゃないんですよね。

4.『ダウン・トゥ・アース/DOWN TO EARTH』(1979年)

アメリカで売れたかったリッチー・ブラックモアが、曲をポップにしたがったせいで、ロニー・ジェームス・ディオがグループを辞めてしまいます。
仕方が無いのでボーカリストを探していたところ、上手いけどロック・ミュージシャンっぽくない見た目のグラハム・ボネットを見つけます。
確かに上手いので、アルバムで聴く分には全く問題はありません。
高音も出るので、アメリカ市場を狙った曲にもマッチしました。
実際「Since You Been Gone」という曲は、けっこうヒットしたと思います。

歌モノのロック・アルバムとしては悪くない出来ですが、ギタリストがリーダーのバンドとしては物足りず、コージ・パウエルのドラムも特筆するものが無く、、、というアルバムです。
グラハム・ボネットは悪くありません。こういうボーカリストだと分かっていて採用したわけですから。

5.『銀嶺の覇者/Ritchie Blackmore’s Rainbow』(1975年)

ディープ・パープルを辞めてやりたかったことがコレなのか、とガッカリした記憶があります。
スピード感もヘビーさも無く、身体が動き出すようなグルーブ感もありません。
ロックにしては小綺麗にまとまっていて、スケールが小さく思えたのです。

それでも「闇からの一撃」「ストリート・オブ・ドリームス」「孤高のストレンジャー」よりも上位にしたのは、ロニー・ジェームス・ディオがいたからです。
有名な曲はアルバムの前半にありますが、個人的には最後の2曲が気に入っています。

レインボーは、アメリカで売れたかったリッチー・ブラックモアが試行錯誤した歴史を現わすバンドでした。
自分の音楽的嗜好を前面に出していた初期は傑作を生みだしましたが、商業的な成果を得られませんでした。
産業ロックのブームやLAメタルの台頭を横目に、「何で売れないんだ(しかも3大ギタリストにも選ばれないし)」と悩んだ結果、市場にマッチした方向に音楽を変化させます。
これが、そこそこ当たったのがまた不幸でした。

アメリカ市場でのヒットを目指しながら作られる作品は、リッチー・ブラックモアの魅力を失わせてゆき、古くからのファンが離れてしまいます。
中世音楽やクラシックの影響を感じさせながらヘビーでスピーディで激しい唯一無二のロックが聴けないなら、もう、レインボーじゃなくてもいいじゃんか、という気持ちになってしまいます。

90年代にはポップで活きのいい、ビジュアルにも気を使ったロックバンドは、どんどん出てきていました。
結局、どのボーカリストが好きですか?でさえ無く、どのヒット曲が好きですか?となってしまうと、バンドとして応援する意味が無くなってしまうわけです。

今回、全てのアルバムを聴き直してみても、私にとってのレインボーは「三頭時代」の2枚(+ライブ)でした。
それ以外は全部、普通に良いロック・アルバムでした。

2024.10.1

dewang-gupta-unsplashの写真に感謝します。

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