『4』 ソフト・マシーン 1971年
ソフト・マシーンというバンドがあることは、中学生の頃から知っていました。
しかし、なかなか聴く機会が無いまま過ごし、初めて聴いたのは20代(1980年代)になってからでした。
そしてその最初の1枚がこの『4』でした。
ソフト・マシーンは1960年代後半から20年以上に渡ってメンバー交代を繰り返しながら活動したバンドで、その音楽性も時期によって変化させてきました。
最後の方はオリジナル・メンバーがいなかったりするので、バンドとしてどうとらえたらよいか分かりにくいですが、関わったアーティストや派生バンドを見ると、凄い名前をいくつも見つけられます。
個人的には、ソフト・マシーンにたどり着く前にロバート・ワイアットを聴いていたので、彼がドラムをたたいていた時期のバンドという期待のしかたをしていたと思います。
カンタベリー派の代表と言われるソフト・マシーンは、田園的で素朴な音楽だと勝手な想像をしていたわけです。
しかし初めて聴いたソフト・マシーンの『4』は、前衛的なジャズ・ロックでした。
全7曲インストなので、このアルバムではロバート・ワイアットは歌っていません。
フリージャズとしての緊張感があり、個々の演奏も迫力があります。
キース・ティペット・バンドにいたというエルトン・ディーンの管楽器が全体の色を作っていて印象的ですが、その他の楽器も遠慮なく鳴っています。
この言い方は違うのかもと思いながら、プログレ好きな私としては、キング・クリムゾンのインストパートが延々続いているようだなと感じたりしていました。
そして当時の私は期待とのギャップが大きかったせいで、「ソフト・マシーンは好かーん」と思ってしまったのでした。(勝手に期待して勝手にガッカリするな、という話しですが。)
初めて聴いた時点で15年近く前の音楽でしたし、当然ですが、1980年代という時代のムードにもマッチしていませんでした。
しかし、80年代は多様な音楽が生まれた時期でもあり、アフリカのリズムや東洋の音階がロックに取り入れられたりすることで第三国の音楽への関心が高まるということも起こりました。
私自身、リップ・リグ&パニックのようなポスト・パンクやユニヴェル・ゼロのようなチェンバー・ロックなど様々な音楽を聴くようになり、ロックに混ぜていいのはクラシックだけでは無くて、レゲエでもスカでもミニマル・ミュージックでも、もちろんジャズでもいいのだと耳が開いてきます。
そして20代後半に改めてソフト・マシーンに戻って聴いてみたところ、「これを70年代にやっていたのか」とブッ飛ぶわけです。
評価を改めたものの、その後また聴く機会が無くて、ソフト・マシーンのことはずっと忘れていました。
今回、随分久しぶりに聴いて、その評価は以前の再評価からさらに高くなりました。
けっこう大袈裟な言い方ですが、これを知らないままでなくて良かったと思います。
アラン・ホールズワースが参加した『Bundles』や、オリジナル・メンバーがいなくなって作られた『Softs』も聴きやすくて良いアルバムですが、やはりソフト・マシーンの真骨頂は前衛的なジャズ・ロックだと思うので、おススメは『3』『4』かなぁ。
1971年に作られた音楽を1980年代に聴いたらイマイチだったのに、2023年に聴き直したらかなり良かった、ということになりました。
若い方はどう聴くのかなぁ。
投稿:2023.3.28
Photo by Amplitude Magazin – upsplash
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