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『Shine On Brightly』 Procol Harum

音楽

『月の光』プロコル・ハルム 1968年

ゲイリー・ブルッカー氏の訃報に接し、改めてプロコル・ハルムを聴き直しています。
良い音楽をありがとうございました。どうか安らかに。

今回、随分久しぶりにファースト、セカンドと続けて聴いているのですが、セカンド・アルバム『月の光』では、バンドそれぞれの音がしっかりと自己主張してきて、聴きごたえがあります。

中でもこのアルバムを特徴づけるのは、最後の組曲『In Held ’Twas In I』でしょう。
今までとは随分と雰囲気が異なり、演劇的に物語が展開されてゆきます。
ただ、演奏はBGM的ではなく、ピアノもオルガンもギターも前へ出てきますし、ドラムやベースも存在感を示してきます。
トータルで17分以上あり、プロコル・ハルムをプログレ・バンドとする一因になった曲と言えるでしょう。
この曲がダメな人は、このアルバム全体がダメかもしれません。

ありきたりのロックバンドではない、独創的な個性を出すことができたセカンド・アルバムですが、そのせいで逆に好みは分かれてしまいそうです。
後のエア・サプライのようにロマンチックなヒット曲を量産するポップ・バンドになれれば、その方が長く売れたと思えます。

プロコル・ハルムの好きなところは、クラシカルな音楽性とオルガンの響きなのですが、このアルバムから加入したロビン・トロワーは良いギタリストでした。いつか紹介したいと思います。

私の手元にあるCDは、奇怪な緑色の世界で裸の女性がピアノに向かって後姿を見せているジャケットなのですが、シュールレアリスティックなオレンジ色の世界に謎のグランドピアノが描かれているジャケットもあって、どうやらこちらの方がオリジナルなのですね。なんで別バージョンを作ったのでしょう?

ついでに気になると言えば、本国のアルバム・タイトル曲は2曲目の『Shine On Brightly』なのに、日本盤のタイトルは『月の光』になっています。
アルバムには3曲目に『Skip Softly(My Moonbeam)』という曲がありますが、そこから取ったのでしょうか。よく分かりません。

良くも悪くも『青い影』という有名曲を持っているせいで、”そういうバンド”だと思われてしまいがちですが、プロコル・ハルムにはいくつかの音楽的な変遷がありました。
R&Bの影響が感じられる作品、プログレッシブ・ロックの要素が強い作品、ハード・ロック色が強く出た作品、ソフト・ロックの作品などです。
共通するのは、美しいメロディと楽器のアンサンブルを楽しんでいるようなバンドだというところでしょうか。
きっかけはどこからでも構わないので、タイプの異なる2枚は聴いてもらえたら嬉しいです。
お薦めするとしたら、この『月の光』と『青い影」では無くて、『A Salty Dog』と『Grand Hotel』です。(だったら、そっちのレビューを書けと言われそうですね。)

投稿:2020.3.31  
修正:2023.10.28

Photo by Sarah Richter – Pixabay

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