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『Time Honoured Ghosts』 Barclay James Harvest

音楽

『神話の中の亡霊』 バークレイ・ジェイムス・ハーベスト 1975年

1970年のデビュー以来、毎年、ちゃんとアルバムを制作して、いずれも素晴らしいクオリティを保って活動した抒情派ロック・バンドです。

真面目に作品を発表し続けたバークレイ・ジェームス・ハーベストで、最もジャケットを目にする機会が多かったのが、この7作目の『Time Honoured Ghosts/神話の中の亡霊』でした。
音楽雑誌で高く評価されていて、ずっと気になっていたのですが、実際に私がCDを購入したのは80年代中頃でした。

彼らが注目されたのは、初期にロックとオーケストラの融合のようなことをやっていたことが大きいのではないかと思います。
その後、オーケストラやメロトロンがシンセサイザーに置き換わっても、メロディアスな優しさ溢れる作風は一貫しています。

私は初期のシンフォニックなアルバムが好きなので少し残念なのですが、このアルバムはそうしたプログレっぽさは薄く、「大袈裟な音作りはちょっと気恥ずかしい」という人にも聴きやすい仕上がりです。
いずれにしても、バークレイ・ジェームス・ハーベストを初めて聴く入門版としてはお勧めです。

このアルバムを聴くと、おそらく影響を受けたであろうアーティストや音楽のトレンドを確信犯的に取り入れている感じにニヤリとしてしまいます。
1曲目の『イン・マイ・ライフ』はツィン・ギターの疾走感がカッコよくて、ウィッシュボーン・アッシュを聴きたくなったり、2曲目『Sweet Jesus』はゆっくりとしたテンポで歌も演奏も優しく沁みて、「ニール・ヤングを聴いてみようかな」と思ったり、3曲目『Titles』にいたってはビートルズの曲名を並べた歌詞とメロディをそこかしこに取り入れた工夫に、「本物のビートルズを聴かなくちゃ」と思わされたり、他にも「キング・クリムゾンを聴こうかな」とか、いろいろ刺激されます。
日本でもベストセラーになった小説「かもめのジョナサン」から生まれたという曲もあり、純粋に音楽に浸るだけでなく、周辺情報や膨らむイメージでも楽しめます。

何か他の曲を思い出すからと言って、決してオリジナリティが無いというわけではなく、嫌な気持ちになったりはしません。むしろ、心地良いです。

私は好きなバンドなのでお薦めしたいのですが、「絶対に聴くべきだ」「聴かずに死ぬな」というようなものではなくて、「音楽好きな方ならきっと気に入ると思いますよ」という感じです。

投稿:2020.3.28  
修正:2023.10.27

Photo by Tomas Kirvėla – Unsplash

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