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Gacharic Spin 〈LIVE 2023 Limit Breaker~結成15周年に向けて~〉に行ってみました

音楽

ガチャリック スピン 日比谷野外音楽堂 単独ライブ 2023.11.18

2023年9月頃に初めてこのバンドのことを知ったのは、Youtubeの動画でした。
ベースの F チョッパー KOGA さんの演奏に目と耳が釘付けになり、そこからガチャピンの沼にはまっていきました。

MVはしっかり作られていますが、その中でも演奏シーンは特に魅力的でした。
Youtubeにあがっていたライブ動画を観て、これは実際に体験したいと思っていたところ、このライブのチケットを購入できました。
それからはライブをより楽しむために、予習の日々です。
そして知れば知るほど、彼女たちの魅力の虜になっていました。

ガチャリックスピンを観たり聴いたりしていると、YoutubeでもSpotifyでも、「こちらもオススメ」というアーティストが紹介されます。
知らなかったアーティストもけっこういましたので興味を持って聴いてみます。
ガチャリックスピンの魅力は、高度な演奏力とキャッチーさだと思っていたのですが、もっと上手かったり現代的でセンスを感じるアーティストは他にもいくつかありました。
それでも、つい選曲したくなるのはガチャリックスピンなのです。

ガチャリックスピンの音楽は、必ずしも最先端でエッジが効いたものではありません。
心の痛みや孤独を歌っても、そこには恵まれた教育を受けた育ちの良さのようなものが感じられ、優しさと救いがあります。
ネットで活躍する歌い手さんたちの歌詞や音楽には、時々、致命傷を受けてしまうほど心を抉られるものがあったりしますが、ガチャリックスピンの音楽はそういうのでは無いのです。
だからといって、意味のないアイドル・ソングではありません。
初期のアイドル系の曲でさえ、歌詞にはインテリジェンスが見え隠れしていますし、近年の作品ではさらに優秀さは顕著です。
これは、私のような年齢のリスナーにとっては聴きやすさにつながります。

一方で、若いリスナーを獲得するには課題なのかもしれません。
手っ取り早いのは、失恋ソングで良いものが作れると強いのかもしれません。
可愛くて演奏の上手い優等生が失恋しても共感できないかもしれませんが、シュガーの「ウェディング・ベル」みたいな自虐ものなら良いのかなぁ・・・。
脱線し過ぎました。
今のガチャリックスピンが好きなので、こうして欲しいというわけではありません。

開場の1時間前には日比谷公園についたのですが、少しだけリハーサルの音が聞こえて、胸が高まります。
入口周辺には、ファンの方々が少しづつ集まってきています。

やっぱりというか、なんというか、年齢層が高いファッションに関心の無さそうな男性がほとんどのようでした。うーん・・・。
以前、美術館で警備の仕事をしている方が、「絵のことは分からないが、お客さんを見るとどういう展覧会なのか分かる」と言っていましたが、だとするとちょっと危機感が生じます。
私のようなオヤジが場違いなところに来た、ということになるかと思いきや、周り中が中高年の男性なのです。

さらに周囲を見渡すと女性や外国人の姿も見られましたが、やっぱりオッサン率は高い・・・。
ライブが始まる前に、酔っぱらっている方までいます。
そして、これはバンドの音楽性を考える上で悩ましいと思ってしまいます。
近視眼的に捉えれば、ヒット曲を消費するだけの移り気なリスナーよりも、少々の音楽性の変化は許容してくれる年配のファンの方がお金を使ってくれそうなのは確かです。
しかし、バンドを支えているファンの方々の求める音楽と、バンドがイメージする成長のベクトルはマッチしているのでしょうか?
楽曲は若い世代にも刺激的だと思いますし、歌詞は女性に共感されるものになっているだけに、なんだか悔しいと感じてしまいました。

11月の日比谷は秋が深まって、夕方は寒くなってきました。
近くのカフェで暖かいものを飲みながら、時間をつぶします。
開場の16時15分は、まだ完全に日は落ちていません。
ステージ近くまで行って、エフェクターが左側に2セットあったのが気になりました。
この時は深く考えなかったのですが、これは素晴らしい舞台配置でした。

自分の席を確認して物販の列に並んでいると、周囲はどんどん暗くなってきました。

グッズは何か手に入れたいと思ったのですが、いわゆるアイドル・ファン向けの記念グッズっぽいものばかりで、私が持てるものは無かったので諦めました。もっと普段使い出来るデザインのものがあれば欲しかったのですが残念。
それでも何か持って帰りたかったので、開演直前に改めて列に並んでピック4枚セットを買いました。

17時、ほぼ時間通りの開演です。

ライブの様子は、こちらの記事がうまくまとめてくれています。
WEB上にいくつか記事があがっていますが、どれも同じ文面で同じ写真なので、バンド側から素材が提供されたのか、速攻で転載されたのか。

Gacharic Spin、結成15周年へのキックオフとなる日比谷野音公演で超熱演 - CDJournal ニュース
Gacharic Spin(以下、ガチャピン)が、11月18日に東京・日比谷野外大音楽堂にて、そのタイトル通り結成15周年に向けてキックオフとなるワンマン公演……
Gacharic Spin、結成15周年へのキックオフとなる日比谷野音公演で超熱演! 来年のEPリリース&ツアースケジュールも発表 | USENの音楽情報サイト「encore(アンコール)」
photo/ゆうと。

個人的に良かったのは、ステージに向かって左側に TOMO-ZOさん(ギター)と F チョッパー KOGAさん(ベース)が並ぶようにポジションが変わっていたことです。
エフェクターが左に2セットあったのは、このためだったのですね。
これまでのステージでは TOMO-ZOさんはステージの右側にいましたので、かなり印象が変わりました。そして、これは大成功だったように思えます。
二人が演奏する躍動感が素晴らしく、二人を同時に視界に納められます。時々、連動して動くところもカッコ良くて気に入りました。

もともとライブのカッコ良さに魅かれて好きになったバンドでしたが、実際に体験できて、やっぱり間違ってなかったと実感できました。

さらに印象的だったのは、想像以上に TOMO-ZOさんがステージで輝いていたことでした。
どのメンバーも素晴らしく、アンジーさんはもちろん、お気に入りのオレオさんのこともずっと見ていたいと思うのですが、気が付くと TOMO-ZOさんを目で追っています。
「Live Every Moment~ヒトヨバナ~」のプレイをはじめ、どの曲でも楽曲にめっちゃ貢献していることが分かりました。
だからというわけでは無いのですが、バランス的に正しいとしても、こういうライブでは、ギターの音はもう少し大きくしてほしいと感じてしまいました。
もっとライブで TOMO-ZOさんのギターを聴きたいです。

F チョッパー KOGAさんは、しゃべりと演奏のギャップが可愛らしく、優しい笑顔も心に残りました。
演奏のカッコ良さは当然というところでしょうが、やっぱり凄い。これは惚れます。
ベースとギターとドラムの3ピースになる、音を減らしたアレンジなんかをもっと取り入れても良いのではないかと思ったりもしました。

ドラムの Yuriさんは、このバンドにピッタリで、いなくならないで欲しいメンバーです。
タイトな音や手数の多い演奏が魅力なのはもちろん、歌もビジュアルも可愛らしくて好印象でした。
はなさんとのツイン・ドラムは聴けませんでしたが、「カチカチ山」でドラムセットをはなさんに譲ってステージの前に出て電子ドラムを叩くのは見どころのひとつでしょう。
すっかり私もオジサンホイホイに捕まっています。

この時、同じドラムセットにもかかわらず、はなさんの叩いたドラムの音は重くて太かったように感じられました。
ステージでは派手なことはしていませんでしたが、要所を抑えたプレイが光っていて、歌もギターも、マルチな才能を見せつけられました。

オレオさんは、今回、ソロ・パートがあって、ファンには嬉しい演出でした。
映像で見ていた通り、元気いっぱいで魅力的なパフォーマンスでした。
欲を言えば、キーボードのソロをもっと長く弾いてもらえたら嬉しいです。

アンジェリーナ1/3さんは、舞台度胸があって、自分がメインで歌っていない時にもパフォーマーとしてステージを掌握していました。

メンバーは全員素晴らしく輝いていました。
そして今回、個人的には、ギター、ベース、ドラムの3人から特に目が離せませんでした。
(席の関係もあったと思います。)

演奏された各曲についてコメントするとキリが無さそうなので止めておきますが、改めて曲の良さと演奏力、さらに演奏している姿の魅力が確認できました。

昔からコール&レスポンスが苦手なので、会場でノリの悪い観客に気が付いたら、私かもしれません。
横にいたファンの方のサイリウムがまぶしくて邪魔だなと思っていたのも本心です。
でも、決してライブに乗っていなかったわけではありません。十分、楽しみました。

会場を出ると、今日のセット・リストが掲げられていました。
嬉しいですね。

「Rabithole」はライブ向きでは無いということで外されたのかなとか、「何者にもなれなかった僕たちへ」は15周年のライブに取っておけばいいと納得したものの、「Lock On‼」は聴きたかったなと思ってしまいました。

帰ったら、この曲順でSpotifyを編集しようと思っていたら、できてました。
すごいですね。

ガチャリックスピンの音楽に、80年代的なレトロ感を覚えるのは、彼女たちが20年位前に真面目にロックを学習してしまったせいではないか、という仮説を持っています。(実際のところは知りませんが。)
私のような世代にとってガチャリックスピンの音楽は、懐かしさを感じるところがあって、テクニカルで緊張感のある中にも安心感と心地良さがあります。
ただ、そこにはどこか優等生体質が感じられて、古さやダサさにもつながる弱点にもなりかねません。
マイク・パフォーマーのアンジェリーナ1/3さんの加入によって、現代的なエッジが立ってかなり良くなったと思えるので、この方向で進んでくれたらなぁと思ってしまいます。

などと、勝手な希望を抱いてしまうわけですが、シリアスで真剣な面も、ふざけて楽しむところも、全部がガチャリックスピンなのでしょう。
ファンを大切にしている方々であることは感じられますが、ファンの要望なんて気にせずに、これからは、自分に素直にやりたいことをやったらこうなった、で良いんじゃないかと思います。
バンドのコンセプトである「ガチャガチャしてスピンしまくる」楽しさは、今、見事に体現できているのですから。

来年はさらに充実した年になることは間違いなさそうなガチャリックスピンを、どんな形であれ応援したいと思います。



投稿:2023.11.20

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