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『BABEL』MUMFORD&SONS

音楽

『バベル』 マムフォード&サンズ 2012年

これは本物だ。直観的に感じたのは、彼らの本気度。
ド直球で、真っ向勝負してくる音楽を前に、真正面から受けて立つか、視線を逸らして立ち去るか、聴く側の姿勢をも問われるようです。
純粋であるとは言っても子供じみたピュアさではなく、清濁併せ飲んだうえでそれでも揺るぎない信念のようなもの。
一度捕まったら、もう逃げられない迫力があります。

初めて聴いた時に浮かんだのは、「アメリカン・アイドル/シーズン9」のベストいくつかでリー・デワイスが歌ったサイモン&ガーファンクルの『The Boxer』でした。
しゃがれた声で純粋な思いを歌い上げた姿を思い出しました。
次に浮かんだのは、マムフォード&サンズの20年も前のバンド、ホット・ハウス・フラワーズ
伝統楽器などを使ってトラディショナルな味わいをエッセンスにしながら、全体としてはロックのテイストでまとめ上げた素晴らしいバンドです。

1曲目の表題曲は、彼ららしさ全開のエネルギッシュなナンバー。
2曲目は静かな導入から中盤以降の高揚感へと盛り上げ、3曲目のシングル曲へ。
泥臭いのにブルースというよりもカントリーとかトラディショナル・フォークの味わいを感じさせる4曲目、しっとりと歌い上げる5曲目、前半のハイライトの6曲目、、、。
その後も熱いエネルギーに満ちた曲がこれでもかと続きます。
ひとつひとつの曲はどれも6分以内と短いのですが、全16曲、約1時間のボリュームです。
アルバムとして各楽曲はバラエティに富んで飽きさせず、それでいて全体は統一感があります。

演奏も歌声も癖のあるものですので、好き嫌いは分かれると思いますが、音楽好きなら必聴の名盤と言ってよいと思えます。

成功を手にした彼らは、より広いターゲット獲得を目指したのか、その後のアルバムで個性を失い始めます。
多くの人から愛される平凡なロック・バンドではなく、万人受けはしなくても唯一無二なバンドだったマムフォード&サンズを聴くなら、このアルバムです。

デラックス版は2枚組で、ボーナス・トラックとして11曲のライブが付いています。ライブのクオリティが素晴らしいので、もしもお買い求めになるならデラックス盤を。



投稿:2020.5.1 
編集:2023.10.27

Photo by Pierre Herman – Unsplash

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