『ケストレル』 ケストレル 1975年
一度目にしたら忘れられない印象的なジャケットですが、あまり語られることのないバンドだと思います。
私の持っているCDの解説には「隠れ名盤」と書かれていました。確かに隠れてます。
唯一、バンドのギタリストが、この後にスパイダーズ・フロム・マースに加入するということくらいが興味を引く話題でしょうか。
プログレの文脈で紹介されることが多いようですが、その理由はオルガンやメロトロンが印象的だからでしょう。
時期的にはプログレが終焉を迎えていた頃のリリースですし、アルバム全体を通して聴いてみると、それほどプログレっぽいアルバムではありません。
それぞれの曲は悪くありません。いや、むしろ、かなりいいです。
UKポップやアート・ロックの雰囲気は、日本人受けしそうにさえ思えます。
改めて聴いてみると、ここで展開される音楽は、このまま忘れ去られてしまうには惜しいです。
ポップな曲調だったり、凝ったコードが入ってたり、ジャズっぽい演奏があったり、さらにはプログレっぽく大仰な曲構成からメロトロンが響き渡ったり、魅力がごった煮というか闇鍋状態で詰め込まれています。
そんな魅力がこれでもかと詰め込まれた作りでありながら、なんとなく情緒があり、洗練されたセンスで仕上げられていて、ちゃんと味が整っているのです。
こういう作りは、音楽通の人ほど面白さとして感じられるかもしれません。
素晴らしい音楽性持ちつつ、一般的に知名度が低いままキャリアを終えてしまったのは、ポップ・ロックとして突出した個性が弱くてヒット曲が無かったせいでしょう。
バンド・メンバーにイケメンがいるとか、アイドル要素があればまた違ったかもしれませんが、そのへんの情報はありません。
もう少し活動が続いていたら、10CCのようなヒット曲も出して人気バンドになっていたかもしれません。
それくらいのポテンシャルは感じます。
いつか貴重盤として価値が上がるような気がするアルバムです。
うーん、聴けば聴くほど惜しい。
投稿:2023.2.19
Photo by Chris Allen – Pixabay
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