PR

『METALLIC SPHERES』THE ORB feat.David Gilmour

音楽

『メタリック・スフィアズ』 ジ・オーブ フューチャリング デヴィッド・ギルモア 2020年

デヴィッド・ギルモアのソロにジ・オーブが参加したのだと思って買ったのですが、そうではなくて、ジ・オーブに、デヴィッド・ギルモアが参加したアルバムでした。
ジャケットにもちゃんと書いてあるのに、なんでそう思っちゃったんだろう・・・。

ジ・オーブは1980年代末から活動しているエレクトロ、アビエント系の音楽ユニットです。
アンビエントといってもブライアン・イーノの環境音楽的なアプローチではなく、積極的に聴くことやクラブなどで音を浴びることを否定しない音楽的な作風です。
ブライアン・イーノの流れから紹介するよりも、エイフェックス・ツインなどの例を出す方が分かりやすいかもしれません。
最近人気のレイ・ハラカミほどチル・アウトな優しさは無くて、もう少し固く無機質です。

個人的には”聴くけど買わない”タイプのアーティストでしたのであまり詳しくありませんが、主催者のアレックス・パターソンは、ブライアン・イーノキング・クリムゾンも所属していたEGレコードの社員だったという話しがあり、これは音楽的な背景や人脈に関係していそうです。
実際、彼はジ・オーブとは別に、ロバート・フィリップと共同で『FFWD▶▶』(1994年)というプロジェクトをやったりもしていました。
このアルバムは持っていますが、この時もアレックス・パターソンではなく、ロバート・フィリップの名前で買ったというのが正直なところです。(購入を検討している方は、優先度は下げて大丈夫です。)

ロバート・フィリップブライアン・イーノが共同で制作した名作コラボに憧れがあったのかもしれませんが、ビッグ・ネームとコラボすれば良い作品が出来上がるというものではありません。
(こっちの『Evening Star』は名作。その他にもこの頃には良いコラボを残しています。)

デヴィッド・ギルモアのギターについては、得意のブルース・フレーズを弾きまくるということは無く、あくまでジ・オーブの料理にそえる音素材として鳴らしているという感じです。大人です。
硬質なジ・オーブのサウンドに、デヴィッド・ギルモアのギターは体温のようなものをもたらしてくれています。
ただ、これがメリットだったのかデメリットだったのかは私には分かりません。
むしろ、デヴィッド・ギルモアの楽曲にジ・オーブが音響的な深みやトレンド感を足してくれるなら、もっと良いものができたかもしれないと思ってしまうからです。
少し無理やりにこじつければ、このコラボには初期のピンク・フロイドに似たサイケデリックな雰囲気を見つけられたりもします。
私のようなオヤジ・リスナーには、こういうところは悪くありませんでした。

ジ・オーブは現在も活動している現役バンドですので、新しいものを聴いてみるのも良いかもしれません。
小さな音で仕事中のBGMにするもよし、爆音で軽くトランス状態に浸るのもありだと思います。

なんていう記事を書いたのは 2年半前でしたが、最近になってコレを再構築したアルバムが新譜として出ていました。
ロジャー・ウォータースが『The Dark Side of the Moon』を再構成した Redux版を出すタイミングで、なんでしょうね。関係ないか・・・。

投稿:2020.4.11 
編集:2023.10.23

Photo by Blake Weyland on Unsplash

コメント

タイトルとURLをコピーしました