『トーク・トーク・トーク』 ザ・サイケデリック・ファーズ 1981年
ヒット曲があるというのは、やっぱり強いです。
サイケデリック・ファーズが、ポップ・ロックなイメージで見られてしまうのは、彼らの『Pretty in Pink』という曲が原案となった映画が1986年に公開されてヒットしたことと無関係ではないでしょう。
ただ、このアルバムが発売された時点では映画はありませんでしたので、当時の彼らの人気は、その音楽とファッション性にあったように思います。
パンク以降に名付けられた様々なロック・カテゴリーを私はうまく使い分けられないのですが、傾向としてはニュー・ウェイブとかアート・ロックに分類されると思います。
サックス・プレーヤーがいたことで、なんとなくロキシー・ミュージックを思い浮かべてしまい、アートな感じがしていました。
ただ、激しい演奏は聴かせてくれますが、抑えきれない衝動があるというよりも、ファッションとしてカッコウをつけているような印象を持ってしまい、当時の私にとっては優先度の低いバンドでした。
数年後のヒットも、このバンドを遠ざける理由となり、あまり聴き込むことはありませんでした。
正確では無いかもしれませんが、音楽ファンからの評価もそれほど高くは無かったような気がします。
しかし、それでも『Pretty in Pink』は誰もが聴いたことがあるほどヒットしましたので、彼らはこの時代を象徴するアーティストのように思われていることでしょう。
そして、それはそれで外れてはいないと思います。
余談ですが、映画「プリティ・イン・ピンク」のサントラは、当時のロックシーンを反映していて面白いです。
オーケストラル・マヌーバーズ・イン・ザ・ダークや、ニュー・オーダー、エコー&ザ・バニーメン、ザ・スミスなどの曲が並んでいて、もちろんサイケデリック・ファーズの『Pretty in Pink』も収録されています。
今改めてこのアルバムを聴くと、ポップで聴きやすく、昔よりもずっと好印象でした。
激しさの中に親しみやすさがあり、ノイズを響かせながら重くならないので、聴くシチュエーションを選びません。
少々時代を感じてしまう音ではありますが、私には微笑ましく思えますし、センスも感じられるので、今でも聴けそうです。
Spotifyを見たら、驚いたことに新しいアルバム(2020年)と、さらに新しいシングル(2021年)が出ていました。
バンド活動が再開されているそうです。
投稿:2020.4.23
編集:2023.10.28
Photo by Max Ilienerwise – Unsplash
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