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『Ruth is Stranger Than Richard』 Robert Wyatt

音楽

『ルース・イズ・ストレンジャー・ザン・リチャード』 ロバート・ワイアット 1975年

ロバート・ワイアットを知ったのは、プログレとロックの人脈から、ロキシー・ミュージックヘンリー・カウ、そしてソフト・マシーンを知った後のことでした。


美術大学で学んでいた20代前半は、とにかくいろいろな音楽を聴いていました。
現代美術を専攻する私たちの学課には音楽や映像を学ぶ授業もあり、あの時期にアートを幅広く学べたのは貴重な経験でした。
その頃は、最先端の現代音楽や西洋以外の音楽に刺激を受けつつ、エレクトリック・ミュージックやダンス・ミュージックなどにもはまっていたと思います。
その時に活動しているアーティストから過去の作品に遡ったり、参加ミュージシャンの作品にスライドしたり、我ながらよくあれだけ広範囲に興味を持てたものだと、今となっては感心します。

おそらく、ロバート・ワイアットは日本で有名なミュージシャンでは無いでしょうし、ここでこのアルバムにかかわったミュージシャンの名前や所属バンドを書き連ねても、多くの方にはピンと来ないかもしれません。(このタイトルの記事をここまで読んでいただいている方は、逆にご存知だったりするでしょうが・・・。)
タイトルの(ジャケットも)お二人、ルースさんとリチャードさんとの関係にも詳しい方がいらっしゃったら、教えていただけたらちょっとうれしいです。
CDの解説には、女性カメラマンと、元ヴァージン・グループ会長のリチャード・ブランソンであるようなことが書かれていますが、曖昧で良く分かりません。
個人的には、このあたりの人脈は面白いのですが、それは他の専門家の方にお願いするとして、少しだけ音楽について。

ドラムを演奏し歌も歌っていたロバート・ワイアットは、ソフトマシーンマッチング・モウルで1960年代末から1970年代の前半にかけて活躍しますが、若気の至りの事故で半身不随になってしまいます。ドラムが叩けなくなった後には、ソングライター兼、歌うたい兼、何をしたかよく分からないけれど有名アーティストの作品にクレジットされる人としてけっこうな作品を残しました。

この「ルース・イズ・ストレンジャー・ザン・リチャード」は、怪我から復帰した後に制作された2作目で、どう受け止めて良いか難しい作品です。
様々なジャンルの音楽をボーダレスに聴いていた当時の私でも、どのカテゴリーなのかよく分からず、いい音楽なのかどうか、名盤なのか駄作なのか、気持ちが定まりませんでした。
そして今、改めて聴いてみて、やっぱり同じでした。
ものすごく印象に残るものの、良いかどうかは言いにくい・・・。

アルバム全体で、9曲 約40分を通して、比較的ゆっくりとしたテンポで、音の数が少ない、肩の力が抜けた曲が並びます。
ロックでもジャズでもなく、前衛音楽とか実験音楽と言うにはポップセンスのある、ノンジャンルとしか言えない、彼独自の音楽世界です。
こうして音をならしていても、心地よい麻痺状態(Comfortably numb)に浸っているようです。

ジャケットのアート・ワークの面白さもあって彼の作品の中では目立ちますが、地味なのに風変りなアルバムです。
良く分からないなりに、なんだか手放せません。

投稿:2020.3.31 
編集:2023.10.28 

Photo by Marc Vandecasteele – Unsplash

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