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『ALL THE bEST SONgS』 NO USE FOR A NAME

音楽

『オール・ザ・べスト・ソンぐス』 ノー・ユース・フォー・ア・ネーム 2005年

 THE HEAVY について書いたときに、「なぜか日本で売れない」の例として出してしまった、ノーユース・フォー・ア・ネーム というアメリカのバンドについて紹介します。
私が例えで出すアーティストがすでに古いなと反省しつつ、このバンドは絶対に日本向きだと思うのです。

ノーユース・フォー・ア・ネーム は、いわゆるエモいロックの代表格です。
メロ・コアとか、エモ・ロックとか、メロディック・パンクとか、いろいろなジャンル名でカテゴライズをされるバンドなのだと思いますが、そのあたりのバンドがなんだかヤンチャ坊主で怖い印象なので、ジャンルごと毛嫌いしてしまうところのある人もいるのではないでしょうか。
でも、怖くありません。エモいとは、心が動かされるという意味です。
音的には、青春パンクという感じのストレートなロックです。
ビジュアルがイケてないのが日本で紹介されない原因ではないかと思うのですが、音楽はピカイチです。
自分がバンドやってたら、絶対コピーします。

デビューは1987年ですから、もう30年以上前ですね。
私が彼らを知ったのは遅くて、2002年の「Hard Rock Bottom」(名盤!)でした。
40歳になる直前、いい年のオヤジでしたが、これに衝撃を受けて聴き始めたわけです。
残念ながら、2012年にギター・ボーカルのトニー・スライが他界したことで、バンドの活動は終了してしまいました。
このベスト盤は、ファーストから2005年のアルバムまでの全8枚から、最高の曲がセレクトされています。
全26曲 約70分。各曲3分前後で、勢いを失うことなく駆け抜けてゆきます。
そして、全曲、名曲です。

最近の日本のバンドでいえば、WANIMAあたり、少し前のバンドならエルレガーデンハイスタンダードの良さに共感してもらえる方なら、絶対に気に入ると思います。
(この、例に出すバンドがまた微妙に古い・・・。)

このアルバムの5曲目「Dumb Reminders」なんかは、エルレガーデンの「Red hot」を思い起こさせますし、他にもどこかで聴いたメロディや曲展開がチラホラ。
日本のバンドがパクッているとか、そんな野暮なことを言うつもりは無くて、日本人に刺さる要素が詰まっているということです。
激しいサウンドに乗る爽やかで美しいメロディは、胸が ぎゅん となる切なさを持っています。
エモコア系のバンドはどれも似たような印象を持たれがちですが、NOFX などよりも、この 切なさ強め なところが日本人には受けると思うのです。

各曲に触れていくとキリが無いので止めておきますが、全曲、名曲です。
ロック・スピリットを感じるシンプルで力強い演奏、思いを込めてシャウトするボーカル、親しみやすいポップな曲展開、そしてなんと言っても、切なく胸を締め付けるメロディ・ライン。
もう完璧です。
ベスト盤なので、曲順やアルバム全体の構成は、詰め込んだな という感が否めないものの、それでも曲が良いので何の問題もありません。

同じタイトル(タイトルが全部大文字な点が違います)で2015年にリリースされたベスト盤がありますが、これとは入っている曲が若干違っています。
2005年以降のアルバムからもセレクトされているので、初めてでどちらかを選ぶなら、2015年リリースの方がお得だと思います。
(ま、ここは私が持っているCDについて語っているので、持っていないアルバムについてはコメントしないということで。)
でも、どこが入口でも良いので、いいなと思ったら全部のアルバムを聴いて欲しいです。
個々のアルバムの方が、彼らのアーティスト性が感じられると思います。
個人的なお薦めは、「Hard Rock Bottom」「The Feel Good Record the Year」です。

Spotifyには、ありませんでした。

ちなみに、2015年リリースのベスト盤はこちら。
Spotifyでも聴けます。

投稿:2020.5.22
編集:2023.11.10

Photo by Hernan Carlos – unsplash

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