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『6』 Soft Machine

音楽

『6』 ソフト・マシーン 1973年


ジャケットのデザインが好きではなかったせいであまり聴きたいと思えず、聴き込んだ記憶も無かったのですがCDは持っていました。そして改めて聴いてみたら、これは素晴らしい発見でした。
他のどのバンドにも似ていない、これぞソフト・マシーンと言えるのは、この「Six」かもしれません。

サイケデリックで、フリージャズで、ミニマル・ミュージックで、全であって、どれでもない。
これが本当のカンタベリー派というやつなのでしょうか?
私はキャラバンの力の抜けたポップさや ロバート・ワイアットの歌心みたいなものをカンタベリー・ロックと言うのだと思っていましたが、この音楽にも何かカテゴリー名を付けてやりたくなりました。

「4」「5」で成功していたフリー・ジャズの方向性を進めながら、ロックの躍動感も感じられる前半(2枚組では1枚目)は、なんとライブ録音。
「5」は馴染まなかったという人も、これは聴きやすいのではないかと思います。

そして後半はスタジオ録音で、反復するメロディが安静と高揚を誘う、ソフト・マシーン式ミニマル・ミュージックです。そしてこれが良いのです。

この時期、フィリップ・グラスはまだ出てきていませんが、スティーブ・ライヒテリー・ライリーはすでにいくつかの作品を発表していましたので、技法としての”繰り返し”は知られていたことでしょう。
ただ、ここで鳴っている音は現代音楽畑のものとは少し違っていて、バンド・アンサンブルになっているのです。
おそらく、ソフト・マシーンのミニマル・ロックは、この後の現代音楽の作家にも影響を与えたのではないかと思えます。

同じバンドとは思えないほど、短期間に多くのメンバーチェンジを行い、音楽的な変化を果たしてきたソフト・マシーンが、また新たな変態を果たした、独自の世界が展開される特殊なアルバムです。

投稿:2023.4.13

Photo by Tim Chow – Unsplash

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