『アクアラング』 ジェスロ・タル 1971年
60年代の終わりから70年代の初めは、モンスター・クラスのバンドが歴史的名盤をこれでもかと世に出していた時期です。
ジェスロ・タルの『アクアラング』もこの時期に発表され、彼らのキャリアを代表するヒット作となりました。このアルバムも、歴史的な名盤と評価されることがあります。
アルバム全体で展開する長尺な曲を作るなど、プログレ・ファンからの評価も高いバンドですが、この頃の音楽的な軸はハード・ロックな感じです。
デビュー時はブルースやトラディショナルな雰囲気を持ったのロック・バンドだったのが(実はこの頃は良いのです)、徐々に曲の展開が複雑になるなど、プログレっぽくなってきます。
こうした方向付けに対してバンドが確信を持つことができたのは、『アクアラング』がヒットしたことが大きかったのではなないかと思えます。
プログレの名盤として取り上げられることがありますが、難解で長尺な曲は無く、フルートがリードを奏でる変わったハード・ロック、くらいの認識で聴いても大丈夫です。
このアルバムにおいてはマーティン・バレのエレキ・ギターが大活躍しています。
名曲と名高い1曲目のタイトル曲『Aqualung』のリフは、このバンドを知らない人でも耳にしたことがあるのではないでしょうか。
これほど有名で評価の高いリフなのに、個人的には垢抜けない感じがして、あまり好みではありません。スイマセン。
2曲目の『Cross-Eyed Mary』では、そのギターとフルートの掛け合いで緊迫感ある演奏が繰り広げられます。
フルートを楽曲に盛り込むロック・バンドは、意外なことにけっこうありますので、それだけを取り上げてジェスロ・タルの魅力だとは言えないのですが、それでもイアン・アンダーソンの奏でるフルートが、このバンドの音楽に大きな役割を持っていたことは間違いありません。
7曲目の『My God』に対する好みが、ジェスロ・タルを好きになれるかどうかを分けるような気がします。
私の手元にあるCDには、イアン・アンダーソンのインタビューを含むボーナス・トラックが6つも入っていて、大変お買い得です。(インタビューは、いらなかったけど・・・。)
このCDの中では、ボーナス・トラック「Bourée」のライブ演奏が一番気に入っています。
前作の『Stand Up』に収録されている曲なのですが、ぜひ聴いて欲しいです。
個人的にはジャケットのアートワークは好みではなく、曲への想いれも深く持てなかったので高評価アルバムでは無いのですが、これが評価される理由は分かります。
Spotifyには、スティーブン・ウィルソンがミックスしたバージョンがあがっていました。
音の輪郭が全く違います。あえて70年代の録音を楽しみたい方でなければ、こちらがよいでしょう。
実は現在も活動している、ご長寿バンドです。
なんと、昨年に続いて今年(2023年)の春にも新譜が出るそうです。予約注文が始まっていました。
昨年リリースされた作品が意外と良かったので、今作もちょっと期待しています。
投稿:2020.3.28
修正:2023.10.28
Photo by amurca – Pixabay
コメント