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『Future Legends』Fruupp

音楽

『知られざる伝説』 フループ 1973年

少し前に「2023年にリリース50周年を迎えるアルバム・私的TOP50」を書いていて思い出した、北アイルランドのプログレ・バンドです。
知名度や世に与えた影響度が小さく思えたので”私的TOP50”では選外にしてしまいましたが、私はとても気に入っているバンドなので、ここでピック・アップしておこうと思ったわけです。

活動期間は短く、残した作品は4枚だけでしたが、日本では全作品の国内盤が発売されました。
『知られざる伝説』(1973年)、『七不思議』 (1974年)、『太陽の王子』 (1974年)、『当世仮面舞踏会』(1975年)と、なかなか魅力的な邦題も付けられています。
どの作品もしっかり練られていて、クオリティは作品毎にどんどん良くなっています。

全体としてはファンタジー的で物語性があり、ジェネシスがシンフォニックになったような作風です。
バンドとしてのバランスも良く、ヴォーカルもマッチしています。
マリリオンとかが好きな方なら、おそらく気に入ってもらえると思います。

評価がともなわなかった要因は、似た方向性でもっと個性の強いバンドがいたせいで2番手以降になって埋もれてしまったということかもしれません。
70年代後半のパンク・ムーブメントの中で生き残るのは難しかったのでしょうが、さらにその後にブームとなる産業ロックっぽいハードさと甘さがあるバンドなので、うまく方向転換してアメリカ進出していたらと残念に思ったりします。
余談ですが、4枚目の『当世仮面舞踏会』のプロデューサーはフォリナーを立ち上げたイアン・マクドナルドでした。

この『Future Legends』は彼らのデビュー・アルバムで、粗削りながらバンドとしての魅力が感じられる作品です。
演奏は技巧的ではありませんがパワフルですし、収録曲はどれも工夫がされています。
名曲と言えるようなバラードがあればもっと受けたかもしれません。
それでもプログレ好きな耳からすれば、かなり優秀なアルバムだと思えます。

おそらく若い世代の方は聞いたことも無いバンドだと思いますが、プログレの大物を聴いた後にもう少し深掘りしたいと思ったら、ちょっと試してみて欲しい隠れ名店というバンドです。

投稿日2023.4.15

karen-cantu-unsplashの写真に感謝します。

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