PR

『ICKY THUMP』 THE WHITE STRIPES

音楽

『イッキー・サンプ』 ザ・ホワイト・ストライプス 2007年

2000年代のオルタナティブ・ロック最強の2人組バンドです。
残念なことに、ホワイト・ストライプスは、このアルバムで10年間の活動に幕を閉じました。

このバンドを聴くと、ロックという音楽表現の自由さを誇りたくなります。
たったこれだけで、最高にカッコ良くて、最高に破壊力のあるサウンドが作り出せるのだと。

何がそんなにいいかというと、ギター、ボーカル、ドラム、全部です。
そして、これだけで全部なのです。
なにしろ、二人しかいません。
CDのクレジットには、
メグ・ホワイト・・・ドラムス、ボーカルズ
ジャック・ホワイト・・・ボーカルズ、ギター
とだけ書かれています。
つまり、たったこれだけしかない。
これだけが、とてつもないのです。

曲の中には、他の楽器の音がするものもありますが、基本は2ピース・バンドであり、何層ものミックス・ダウンが施されたような作品とは違います。
現代の音楽になれた耳には、スカスカに聴こえてもおかしくない編成です。
そんな少ない音なのに、もの凄い迫力を持って迫ってくるのは、音自体の持つ圧力が桁違いだからなのでしょう。

決して技巧的ではないメグのドラムは、小賢しいことをせず、迷いがありません。
バカボンパパの「これでいいのだ!」とばかりに、ドカバカと叩き、踏み鳴らしています。
そして何よりジャックのギターとボーカルは、このアルバムでも冴えまくっています。
ギターの音色は、破壊的で狂気の色を帯びています。

このバンドに無いものは、実はたくさんあります。
キャッチ―で親しみやすいメロディ・ラインや緻密に計算されたアンサンブル、あんな音やこんな音、、、。
無いものを挙げればキリがありませんが、でもこのバンドに足りないものはありません。
これが全てであり、これで全てです。

ブルースだ、カントリーだ、ハードロックだと、いろいろな影響から彼らの音楽はカテゴライズされますが、どれもしっくりきません。
私にとってザ・ホワイト・ストライプスは、ジャンルの枠に入らない、真のオルタナティブなのです。

投稿:2020.5.12
編集:2023.10.30 

Photo by Matheus Ferrero – Unsplash

コメント

タイトルとURLをコピーしました