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『RADIO K.A.O.S』Roger Waters

音楽

『レディオ・カオス』 ロジャー・ウォーターズ 1987年

きみは、ロジャー・ウォーターズ派?、それともディビッド・ギルモア派?。
いや、私はシド・バレット派。
なんていう酒飲み話しでは、個人的にロジャー・ウォーターズを評価する立場だったのですが、最近は擁護しにくい言動もあって難しいところです。

それでも、ロジャー・ウォータースがいたからこそ、ピンク・フロイドは歴史に残る名盤を生み出し、最高のライブを行うモンスター・バンドになれたのだということは間違いないと思います。

このアルバムは彼がピンク・フロイドから離脱して発表したソロ2作目です。
1作目は彼がまだバンドに所属していた時期に出されていましたので、独立した彼の1作目とも言えます。

アルバム全体を通してロック・オペラを構築するというスタイルがこのアルバムでも踏襲されていますが、前作よりも個々の曲は独立した作りで、物語を深く気にしなければ気軽に聴き進めることができます。
アルバムとしては、良くも悪くも癖が抑えられて、程よいロック・アルバムになっていると言ってよいでしょう。

女性のバッキングボーカル、SE(効果音)や管楽器の使い方、つぶやくようなボーカルとシャウトする声など、ピンク・フロイドで成功した要素はしっかり押さえて作られています。
音の演出という点からは、ピンク・フロイドの名前は彼が継いで行くのが正解なのではないかとの思いがよぎったりもします。

しかし、同時期に発表されたピンク・フロイドの『A Momentary Lapse Of Reason』(1987年)は、アルバム・セールスはもちろんコンサート・ツアーの実績でもロジャー・ウォータースに大きな差を付けて、デヴィッド・ギルモアが正当な後継者であることを証明してみせます。

確かに今聴き比べてみても『RADIO K.A.O.S』と『A Momentary Lapse Of Reason』では、出来に差があると思わざるを得ません。
なので大切なのは、ディビッド・ギルモアと比べたりするのではなく、ロジャー・ウォータースのロック・オペラが好きか嫌いかというところだけかと思います。
ロジャー・ウォータースが日本のことを嫌いでも私は彼のことは嫌いではなく、むしろお気に入りのアーティストですが、正直に言えばこのアルバムはそんなにお勧めではありません。
理由は彼の思想・信条ではなく、単に楽曲が平凡だからです。

これから聴かれる方は、このアルバムを発表する前後のピンク・フロイドや彼の他のソロ作も合わせて聴かれると良いかもしれません。
比較して優劣を付けるというのではなく、そうすることでロジャー・ウォータースの個性がより理解できると思うのです。

投稿:2020.4.9 
編集:2023.10.24

Photo by Markus Spiske on Unsplash

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