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『THE MAN:THE BEST OF ELVIS COSTELLO』 ELVIS COSTELLO

音楽

『ザ・マン:ザ・ベスト・オブ・エルビス・コステロ』 エルビス・コステロ 1986年

エルビス・コステロ、初期のベスト盤です。
1977年「My Aim Is True」から1984年「Goodbye Cruel World」のアルバムから、シングル・カットされたものを中心に、18曲が選曲されています。

手元にある日本盤には、1992年の表記がありました。この年に日本盤が出たのか、あるいは再発されたかは分かりませんが、私自身は92年以降に入手したようです。

1970年代の前半、大仰で芝居がかったプログレやグラム・ロックの反動として、ストレートでシンプルな思いを小さなライブ・ハウスで演奏するようなパブ・ロックというジャンルがイギリスで生まれました。
ただ、ライブ・ハウスはその後パンクの荒波に飲まれていき、パブ・ロックはムーブメントとしての勢いを持てませんでした。

デビュー当時、ポスト・パンクの流れで紹介されることもあるエルビス・コステロですが、その音楽スタイルは、パンクのような攻撃性とは異なるシニカルさやルーツ・ミュージックへのリスペクトが感じられ、ポスト・パンクというよりもポスト・パブ・ロックという言い方が相応しいように思えます。
このアルバムでは、そんな初期のコステロを手っ取り早く確認することができます。

アルバムとしては個々に特徴的であった過去の作品ですが、こうしてシングルを抽出して並べた時に、バラバラな感じがせずに通して聴けたのは意外でした。
収録曲の中では、3曲目の「アリスン」は日本でも流行りました。
そうした有名曲も合わせて、アルバムとしては特にこれといった聴かせどころが無いまま、彼の癖の強さも感じないで聴き終えてしまえたのですから不思議です。上手くまとまっていると言えばそうなのですが、これはこれで食い足りないような気になります。

そんな中、ベスト盤ながら自作の曲だけでなくカバー曲がいくつか入っていて、それらが良い味を出していると感じました。
特に10曲目のカントリー「バラの季節」の歌心は沁みます。
また、最後の「シップ・ビルディング」は、ロバート・ワイアットの原曲よりもむしろ聴きやすくなっていると思えました。
(これが気に入ったら、是非、原曲も聴いてみてください。「はぁぁ~」ってなります。)

Spotifyで聴けますが、ピーター・バラカン氏の解説が入った日本盤CDが手に入るなら、それをお薦めしたいところです。

Spotifyでは、ELVIS COSTELLO で検索するのと ELVIS COSTELLO & ATTRACTIONS もしくは ELVIS COSTELLO & THE IMPOSTERS  ELVIS COSTELLO & Brodsky Quartet で検索するのでは、内容が変わってしまいますのでご注意を。

ロバート・ワイアットの原曲は、このアルバムで聴けます。

投稿:2020.6.26
編集:2023.11.13

Photo by Jack Finnigan – Unsplash

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