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『THIRD』 Soft Machine

音楽

『サード』 ソフト・マシーン 1970年

ロバート・ワイアットキャラバンのアルバムを紹介した後なので、次はご想像通りソフトマシーンです。
あまり書くことが無さそうですが、取りあえずいつものようにCDをかけながら書いてゆきましょう。

ソフト・マシーンは、そのバンド名をウィリアム・バロウズの著書から取ったと言われているように、ヒッピーやビート・ジェネレーションとの馴染みが深く、どうにもサイケデリックで危険な薬物の匂いがします。

カンタベリー派というカテゴリーで語られることが多く、キャラバンとは双璧をなす存在ですが、ソフトマシーンの方がインテリ指数が高いような感じがします。
というのは、ソフト・マシーンはカンタベリー派の中でもジャズ・ロックの色合いが濃いバンドなので、ロックよりジャズやクラシックの方が知的な感じがしているロックバカの還暦オヤジとしては、なんだか気後れしているというつまらない理由です。
バンドの創立メンバーでキーボード奏者のマイク・ラトリッジがオックスフォードに通っていたという情報にも引っ張られているでしょうか。

親しみやすいポップ・ソングのあるキャラバンに対して、こちらはインストゥルメンタル中心で、共感を拒むかのような独自の音世界が展開されます。
特にこの『サード』は、もうロックのCDラックに置いておくのが相応しいのかどうか悩むほど、前衛的で複雑なジャズ・サウンドです。
リード楽器がサックスだというのもあるでしょうし、実際にジャズ・ピアニストであるキース・ティペットのグループにいたメンバーも多く参加しています。
どの曲も聴きごたえがある中、3曲目の『Moon In June』は、ボーカル・パートもあり、ロックっぽいせめぎ合いも聴くことができます。

20分弱の曲が4曲収録された『サード』は、メロディが浮かぶようなヒット曲こそありませんが、ここで鳴っている音は、今、ライブでやっても驚かれるのではないかというレベルで緊張感あふれるものです。
決してコマーシャルな音楽ではないものの、世の中にはこういう音楽もあるのだと知ることは価値があるでしょう。
好きな人は深くハマるでしょうし、ダメな人は全く受け付けないかもしれません。

バンドの歴史において、ヨーロッパのロックにおける重要人物がいろいろと現れては消えるので、名前と参加したメンバーのバンド遍歴を追ってゆくだけでも楽しいです。

最近の若いミュージシャンは、演奏力が高いのにソロに拘らず音楽全体の構成を重視している方が多いように感じます。
バンドのアンサンブルを楽しめる方であれば、ぜひ一度は聴いていただきたいバンドです。

投稿:2023.3.27

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