PR

『ANOMIE & BONHOMIE』SCRITTI POLITTI

音楽

『アノーミー・アンド・ボノーミ』 スクリッティ・ポリッティ 1999年

あの、スクリッティ・ポリッティです。
1985年の『Cupid&Psyche 85』は、その時代を切り取った名盤でした。
リアル・タイムで聴いて強烈な影響を受けてしまった私は、もうその後の作品を冷静に評価できなくなっていますので、この『ANOMIE & BONHOMIE』についてもかなり贔屓目な感想になることでしょう。

グリーン・ガートサイドという天才クリエイターの音楽集団であるスクリッティ・ポリッティは、1982年のデビューから現在までの40年間で、わずか5枚しかスタジオ・アルバムを出していません。
基本的には個人の制作活動がベースなので、音楽性については柔軟でノン・ジャンルです。
ただ言えるのは、常にその時代の最先端の音を鳴らしているということです。

この『ANOMIE & BONHOMIE』は1999年に発表された4枚目のアルバムで、ヒップホップ的なアプローチを交えて、センスの固まりのような粋なポップ・ソングを聴かせてくれています。
今回は、80年代のような音響的なこだわりよりも、楽曲としての心地よさを優先させたようです。

ダンス・ミュージックであったり、ポップ・ロックであったり、アンビエントなハウスやラップだったり、アルバムには多彩な楽曲が詰め込まれていますが、それらの全てにグリーン・ガートサイドの魔法がかけられているのです。
演奏もボーカルも完璧で、非の打ちどころがありません。
フェスで盛り上がりそうな1曲目から、クラブで大音量で聴きたい曲など、どれも比較的おしゃれな気分に浸れるのが特徴ですが、最後の曲はクールなだけでなく切なさに胸が痛みます。

スクリッティ・ポリッティの不幸は、セカンド・アルバムの『Cupid&Psyche 85』が素晴らしすぎたがために、これを超えるアルバムは生涯作れないかもしれないことです。
今回の『ANOMIE & BONHOMIE』も、その出来の素晴らしさに対して、一般の評価は高くないかもしれません。
正直言えば、コレと言った心に深く刺さる曲があるわけでもありません。でも、なんかカッコいいのです。批判することができません。
(これはひょっとしたら、地方出身者が都会のオシャレさんに感じる気後れ感に似てる? だとすると、私がいちばんカッコ悪いぞ。)
何にしても、褒めておいて間違いはないでしょう。
おそらく新譜が出れば、迷わず買います。

いつ、どのシーンで流しても「いいの聴いてるね」と言われることでしょう。



投稿:2020.4.26 
編集:2023.10.27

Photo by jacqueline brandwayn – unsplash

コメント

タイトルとURLをコピーしました