『B’ブーム オフィシャル・ブートレッグ-ライヴ・イン・アルゼンチン1994』 キング・クリムゾン 1995年
三度目の正直で復活したダブル・トリオ編成のメタル・クリムゾン(なんだか凄く強そう!)は『VROOOM』でコンセプトの確認を行い、同じメンバーでのライブを何度か経て確信を得て、『THRAK』という完成度の高いアルバムにたどり着きます。
(私も、確か1995年の新宿厚生年金会館でライブを観ました。)
このアルバムは、新生メタル・クリムゾンのコンセプトをライブで試している記録であり、この時点のキング・クリムゾンが70年代と80年代の曲を演るとどうなるかという実験の証明でもあります。
最初に言ってしまえば、凄いです。
『THRAK』を聴いた後だと、よりライブらしさを強く感じることができます。
録音はこのライブの方が先ですが、今聴くなら『THRAK』を先に聴くことをお勧めします。
どの曲も緊張感あふれる演奏で、超絶技巧プレーヤーたちのインター・プレイを堪能できます。
このアルバムを買ってしまうファン心理としては、『THRAK』に至る過程を検証したいというだけでなく、このダブル・トリオ編成のバンドが演奏する『Red』『Larks’ Tongues in Aspic Part II』を聴きたい、ということが強いのではないでしょうか。
私はそうでした。そして、それは期待を裏切らないものでした。
さらに言えば、80年代キング・クリムゾンの『Elephant Talk』『Heartbeat』『Sleepless』などについては、この編成の良さが活かされたのか、収録アルバムよりもヤバさが際立ってカッコいいものになっていました。特に『Sleepless』はライブ
こうして新旧あわせた曲をこの編成のライブで聴くと、80年代の音楽的な変化もキング・クリムゾンの歴史の中にあって必然であったのだとさえ思えてくるから不思議です。
私は個人的にエイドリアン・ブリューの歌声が好きになれないので、彼が歌っているとそれだけでニコニコ顔が浮かんでダメなのですが、それさえ払拭すれば、ギターもベース(チャップマンスティック)もドラムも、演奏に関してはとてつもない圧力のライブが繰り広げられています。
CDは2枚組で、約1時間半のボリュームです。
ファンでなければ、わざわざ買ってまで聴かなくてもよいかもしれません。
ただ、ダブル・トリオの実力は、しっかり調整されたスタジオ・アルバムでは実感しにくいと思いますので、そうした点を検証したいファンの方には価値ある一枚だと思います。
この『B’BOOM』は、Spotifyにありませんでした。
仕方が無いので、同じ時期のライブから『VROOOM VROOOM』を参考まで。
投稿:2020.4.18
編集:2023.10.22
Photo by Benjamin Suter on Unsplash
コメント