『クール・フォー・キャッツ』 スクイーズ 1979年
スクイーズというバンドを最初に知ったのが、このセカンド・アルバムでした。
同時期にXTCも世に出始めていて、どちらも同等に気に入っていました。
ただ、本国での評価は分かりませんが、日本ではその後の人気や知名度には大きな差ができてしまいました。
似たようなケースでは、R.E.M.とザ・スミスとか、U2とエコー・アンド・ザ・バニーメンとか、オアシスとブラーとかが浮かびます。
どっちが良いとか悪いではなく、どちらも良いのに日本ではちょっと温度差ができてるような気がするというだけなのですが。
短命で終わったパンク・ムーブメントでしたが、1980年代の音楽に与えた影響は大きく、パンクの後に続く音楽トレンドは様々に枝分かれしました。
ロックは終わったと言って第三国の音楽や実験音楽を取り入れたり、ファンクやスカなど様々なジャンルのミクスチャーが次々にあらわれ、しかもそれぞれが面白かったのです。
そうした雑多な流れの中で比較的メジャーになったのが、ニュー・ウェイブでした。
実はニュー・ウェイブもニューロマンティックやらポップやらテクノやらと細分化されるのですが、若いバンドはそれぞれが影響を受けながら新しい表現に取り組んでいました。
クリエイティブでエネルギッシュな面白い時代でした。
スクイーズも、そんな時代の真っただ中にいました。
凄い個性のぶつかり合う中で、頭一つ抜け出すのはとても難しい状況だったと思います。
実際のところ、デビュー・アルバムは凡庸で平均以下に感じていました。
しかしこのセカンド・アルバムでは格段に楽曲が良くなりました。
シンセを前面に出した乗りの良い曲やビートルズを思わせるようなポップな曲、ストレートなロック・ナンバーなど、バラエティに富んだ楽曲はどれもクオリティの高いものでした。
曲作りも演奏も歌も、どれもが聴いていて気持ちの良いレベルにあります。
これは売れる!という予感さえしました。
彼らのキャリアを代表する一枚と言っても良いと思います。
プログレ好きを自称する私ですが、こういうセンスの良いポップ・バンドは好みなのです。
もっと売れても良かったのになぁ。
投稿:2023.4.19
編集:2023.10.27
Photo by simion-andreea-marina – unsplash
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