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『ヘンテコノミクス』 佐藤雅彦・菅俊一

本・漫画

『ヘンテコノミクス』 原作:佐藤雅彦・菅俊一 画:高橋秀明 2017年

「だんご三兄弟」や「ピタゴラスイッチ」でお馴染みの佐藤雅彦さんと、菅俊一さんという方が原案の行動経済学マンガです。

マーケティングに関する本は沢山ありますが、これは、日常にありがちな事例をマンガで短いストーリー仕立てにして読ませてくれるので、読書の苦手な私でも、楽しく読み進めることができました。
小学六年生の娘も「面白い」と言って、話しを暗記してしまったくらいです。

Bitly

物語を作る時、登場人物が何らかの行動をする時には、そこには合理的な理由があるものです。
キャラクターが非合理な行動をすると、「そんな展開はあり得ない」「ご都合主義だ」と批判されます。
古い経済学でも、人が何かを売ったり買ったりするときには、合理的な判断がされるという前提がありました。
価格決定がされたり需給バランスが良いところで落ち着いたりという「神の見えざる手」みたいなものは、世の中は正しい選択をする人々で出来ていると信じられていたわけです。
ところがゲーム理論だのなんだの、リアルに行動心理を研究していくと、どうにも非合理な判断をする人は少なくないぞ、ということになってきます。
また、一見、普遍性を持つように感じる「合理的」というモノサシも、立場や状況によって変わってくるようです。

実際の世界は、作りごとの世界以上に非合理で満ちているのです。

そこで、最近では有名になった行動心理の事例を紹介してくれているのが、この本です。
多くの方にとって、経済のお話しは面白くないでしょう。
行動経済学は面白い分野の方ですが、それでも、「確証バイアスとはこういうことだ」と勉強させられるのは勘弁してほしいものです。
でも、ここで紹介されるのは、ごく日常に体験することが先にあるので、逆に「ああ、このことをサンク・コスト効果って呼ぶんだ」というように、楽しみながら学ぶことができます。

紹介されているものはどれもポピュラーなものなので、ちゃんと勉強されている方が新しい知識を習得するためのものではありません。
でも、「なんで、いつもこれを選んじゃうんだろう」「なんで、この店で買っちゃうんだろう」という素朴な疑問を説明してくれる言葉をお探しの方には役に立つでしょう。
あと、私のように、文字を追うことが苦手な方にもお勧めです。

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Photo by Piyapong Saydaung – Pixabay


投稿:2020.8.29
編集:2023.11.2

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