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『THE LADDERS』 YES

音楽

『ラダー』イエス 1999年

私が個人的に受け入れなかった80-90年代イエスですが、90年代の最後にやってくれました。
これは傑作なのではないでしょうか。

1曲目から10分弱の長尺曲を堂々と展開。その後も様々なバラエティに富んだ楽曲をちりばめながら進行し、10曲目の『New Language』は、かなり力が入っています。
ラストに余韻を残すスローナンバーを持ってきてくれたのも、良い構成だと思います。

ジョン・アンダーソンの歌は生き生きしていて前作よりも若返ったようですし、演奏も初期イエスのような自己主張と、経験を積んで大人になった上手さの両面が感じられます。
このバンドの音楽的な軸は、スティーブ・ハウのギターとクリス・スクワイヤのベースでしょう。二人の演奏が際立つ部分は、やはりグッと締まった感じになります。

楽曲の良さは相変わらずですが、バンドとしてもよく練られていて、まとまりがあります。
ロゴこそ変わっているものの、ジャケットのアートワークがロジャー・ディーンに戻っているのも、往年のファンには嬉しいものです。

技術も経験もあるクセ強のアーティストを束ねて、ひとつの方向に向かわせるというのは簡単なことでは無いでしょう。
このアルバムがバンドとして良い作品になったのは、プロデューサーのブルース・フェアバーンが良い仕事をした成果だと言えます。彼はこの仕事の直後に亡くなってしまったそうです。残念です。

分かりにくい言い方になりますが、私は90年代のイエスに、『危機』と『究極』を合わせたようなものを求めていたのです。それは『リレイヤー』と『ロンリーハート』の合体ではないのです。

この『ラダー』は、過去のプログレを焼き直すのでも、新しいトレンドに合わせて変質するのでもなく、良い形で新旧が混ざっているように思えます。
人生が変わるような名曲こそありませんが、過去20年の中では最もおススメできます。

私の持っている日本盤CDには、オマケで『I’ve Seen All Good People 』と『And You and I/同志』のライブを収めたミニCDが付いていました。名曲は、こちらで。

投稿:2020.3.28  
修正:2023.2.28

Photo by Moriah Wolfe – Unsplash

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