『サマー・タウン』 スペースクラフト 2001年
アメリカのアンビエント・ミュージック・ユニット、スペースクラフトのアルバム。
全1曲、約55分の音の世界です。
その昔、仕事でアメリカにカラオケ玩具を売り込みに行ったときに、現地の音楽著作権の相談に乗ってもらった人からCDをいただいたのがきっかけで知りました。
日本盤は発売されていないかもしれません。
宇宙空間を飛行するスペースシップの窓から見る地球。
生命の生まれる前の地表や深い海の中。
そんな映像に合わせて鳴っている、BGMのような音です。
浮遊感があり無機的な音が、テンポ感なく繰り広げられます。
トランス系のアンビエント・ミュージックと違って、あまり大音量で聴きたくはなりません。
基本的にはシンセサイザーを使用したデジタルな作りなのですが、このアルバムでは無機質なトーンの中にわずかな生命が感じられ、厳かな気持ちにさせてくれるしかけが盛り込まれています。
具体的には、打楽器の音や人の声がメロディのようなものを奏でる部分、風の音を感じさせるSEなどで、制作者の作為の跡があるのです。
個人的には、ブライアン・イーノやロバート・リッチのような、感情を排したアンビエントが好きなので、スペースクラフトのアプローチは中途半端な印象を持ってしまいますが、だからこそ逆に多くの人に親しみやすくなっているとも言えそうです。
どれも同じように思われがちなアンビエント・ミュージックですが、意外といろいろなタイプがあるのです。
投稿:2020.4.12
編集:2023.10.27
Photo by monicore – Pixabay
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