『バビロン・アンド・オン』 スクイーズ 1987年
80年代はイギリスの音楽シーンが最高に面白い時期でした。
パンクの勃興があり、細分化された様々なジャンルの発生があり、沢山の個性的なバンドが登場しました。
バラエティが豊富過ぎて混沌とするこの状況は、60年代にイギリス出身のバンドがアメリカで人気を獲得した現象になぞらえて、”第二次ブリティッシュ・インベンション”などと総括されることもあります。
そして、スクイーズもその渦の中にいました。
スクイーズは70年代末にデビューした、この時代の空気を見事に反映させたポップ・バンドです。
ストレートなロックを基本にしながら、どこかひねくれた感じがする遊びのちりばめ方が小憎らしく、とてもイギリスらしく感じられました。
曲作りのセンスは、デビュー当初から(正直に言えばセカンド・アルバムから)抜群でした。
この『babylon and on』は、デビューから約10年を経て中堅バンドとなった彼らの8枚目のアルバムです。
ここまで世界を賑わすような大ヒットに恵まれないまでもバンドを続けてこられたのは、彼らがトレンドに乗っただけのアイドルではなく、本当に音楽が好きなミュージシャンだったからだと思えます。
1曲目から景気のいいロック・ナンバーでスタートし、最後までバリエーションをつけながら軽快に走り抜けます。
彼らの作品の中では手堅く地味な作りのアルバムですので、あまり話題にはならなかったかもしれませんが、どの曲も耳に優しく嫌な感じがしません。
久しぶりに聴きましたが、良い曲を作って良い演奏を聴かせてくれる優れたバンドであることを再認識させてもらえました。
今の時代に聴いても楽しめると思います。
せっかく良いバンドなのに、日本での知名度が無くて、勿体なく感じます。
もっと彼らの個性が感じられるアルバムもありますので、ベスト盤ででもいいので聴いてもらいたいバンドです。
投稿:2020.4.21
編集:2023.10.27
Photo by Miguel Ángel Hernández – Unsplash
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