『W』 ガチャリック スピン 2023年 (その1)
先月、Youtubeのショート動画に『赤裸ライアー』が落ちてきて、偶然目にしたのがきっかけでした。
一瞬で虜になりました。
(この曲は2015年のアルバム『Music Battler』に入っている、結構前の曲でした。)
何で今まで知らなかったんだろう。
でも知ってしまった以上、好きにならずにはいられません。
それ以来、過去の作品からサイドプロジェクト「DOLL$BOXX」まで聴きまくり、YoutubeでMVやライブ、さらには海外Youtuberのリアクションまで追いかけ、ガチャリック・スピン 漬けの日々を送っています。
ブログで好き勝手なことを書くからには、CDを買ったなど、多少なりともその作品にお金を使っていることを自分のルールにしているのですが、11月の日比谷野外音楽堂のチケットも買ったので、少し書いてみようかと思っています。
まず、この『W』という最新アルバム(2023年夏発売)は傑作です。
上は初回限定版で、下は通常版。
私の場合は『W』から遡る形で過去作を聴いたのですが、前作『Gacharic Spin』の出来が素晴らしいので、それを凌ぐクオリティに以前からのファンお方は驚いたことでしょう。
個人的には日本のロック・アルバムのベスト10に入れてよいと思えるほど気に入りました。
70年代以降の洋楽好きに刺さる引き出しの多さ
ファンク、ダンス、ヒップホップ、HR/HM、プログレ、AOR、ジャズロック、エモ、ハードコア、パワーポップ、アニソンなどなどをごった煮にしたような音楽で、60代のオッサンとしては、自分が通ってきた音楽の歴史が総決算されているのですから、これは嬉しくてたまりません。
こうした音楽ができるのは、彼女たちの音楽的知識とセンスと技術の高さに加えて、いかにも日本的で女性的な包容力と”したたかさ”のなせる技だと感じます。
プロ根性というか、エンターテインメントの世界で生きていく覚悟と素直さが伝わってくるのです。
スタッフも優秀で、演奏と歌の録音バランスも、映像編集のタイム感も申し分ありません。
(唯一、スチールはもっとクオリティを高められるかなとは思いますが、音楽とは関係ありませんね。)
ご本人たちによるプロモーション活動なども積極的かつ戦略的です。
ちょっと見ていられない感じの動画も、あの超絶プレイをこの可愛らしい女性たちがやっていると思うと、ギャップに萌えます。(キモい。)
とにかく、ここまで気に入ってしまうと、本来ならダメ出ししたくなるようなところでさえ魅力だと感じてしまうのですから、ファンというのは恐いものです。
初回限定版には、ライブのBlu-rayが付いているので、こっちがお勧めです。
(すでにAmazonでは完売しているようですね。)
ガチャリック・スピンの魅力はライブで最大に発揮されます。
Youtubeにも多くのライブ動画があがっていますので、初回版が手に入らなかった方は動画サイトでぜひ。(コメントがファン目線になってきた。。。)
第5期 ガチャリック・スピン
さて、文章が暑苦しくてすでに ガチャリック・スピン をご存じ無い方は読むのを止めてしまった可能性もありますが、念のため、簡単にバンドについてご紹介します。
バンド名は「ガチャガチャした音楽がやりたい」ということで付けられたそうです。
確かに、その名にそぐわぬ音楽を作り、ライブを展開しています。
音楽ジャンルのボーダーを超えたガチャガチャさは、一度にいろいろなパートで様々なことが高いレベルで起こる、出し渋りしない才能の大盤振る舞いなのです。
2023年時点で15年近いキャリアを持つバンドですが、現在のメンバーは、F チョッパー KOGA (ベース/コーラス)、はな (ボーカル/ギター)、TOMO-ZO (ギター/コーラス/ボーカル)、オレオレオナ (キーボード/ボーカル)、yuri (ドラム)、アンジェリーナ 1/3 (マイクパフォーマー)という6人。
過去のメンバーにはダンサーがいたり、いろいろ紆余曲折あったことが伺われますが、2019年に yuriさんとアンジェリーナ 1/3さんが加わってから、パフォーマンスのクオリティが上がっただけでなく、歌詞を含めた楽曲の出来も格段に良くなりました。
もう当たり前すぎてコメントされなくなっているかもしれませんが、F チョッパー KOGAさん のベースはバンドの要です。「これが好きじゃないと厳しいかも」と思えるほど、このバンドを形作っている音のコアであり、おそらく人格的にもバンド全体に強い影響をもたらしている方なのではないかと思えます。
女性のベーシストには良い方がたくさんいますが、個人的には最近の日本のベーシストとしては「そこに鳴る」の藤原美咲さんと並んで気に入っているアーティストです。
私がガチャリック・スピンを好きになったのは、彼女のベースの音と演奏する姿のかっこよさがきっかけでした。
そしてPRS(ポール・リード・スミス)使いの魔法使い(異星人?)ギタリスト、TOMO-ZOさん のプレイは、60代のオッサンの大好物が満載です。
歌うことが大好きで音楽の道に入ったという話しがありますが、ギターが上手くて本当に良かった。
ハードでありながら音楽性は幅広くて、カッティングも上手く、タッピングやハーモニクスも難なく演奏するあたり、エクストリームのヌーノ・ベッテンコートを思い出させます。
あの柔和な笑顔の下に、折れないプロ根性が感じられて、応援せずにいられません。
はなさん の音楽的な貢献は誰もが認めるところです。
ドラムを叩き、ギターを弾き、歌う。そのどれもがハイ・レベルで、おそらく曲の展開やバンドのアンサンブルなど、複雑で高度な要求は彼女からされているのではないでしょうか。(確かめたわけではありませんが。)
実際に曲作りをして演奏もするバンドにおいて、歌詞を汲んだアレンジの変化や転調など、演りながら作っていく感じは、全員のスキルと、それをまとめられる能力が求められるでしょう。音楽偏差値が高いことは隠せません。
こんなメンバーがいたら、バンドは最高ですよね。
キーボードの オレオレオナさん は、私のお気に入りです。
これだけタレント性の高いメンバーの中においても、ステージで輝きを放ち、ポジティブなオーラをバンドに与えています。
そんな元気いっぱいな一方で、音楽ではジャズやクラシカルなフレーズで知的な要素を加えてくれたり、ロマンチックでメロウな雰囲気をもたらしています。
見逃してはいけないのはボーカルで、メインを張ることは多くありませんが、彼女が歌えることがバンドとしての表現の可能性を広げていることは間違いないでしょう。
一緒に飲みに行きたい。
ドラムの yuriさん の加入は、バンドの水準を高めることに大きく寄与したと感じます。
華奢な容姿からは想像も付かないような手数の多い高速ビートを叩き出し、難解な展開も見事に支えています。
ドラムの技術的な面だけでなく、彼女を得たことでバンドとしては、万能選手である はなさん の個人能力が解放され、KOGAさんのベースはより縦横無尽に歌えるようになったように感じます。
ときどき口を開けてプレイしている表情がとても可愛くて、そんなところも水準アップです。
もう長くなってきたので、マイク・パフォーマーの アンジェリーナ 1/3さん はいいですね。
ひとことだけ、逸材です。
アルバム紹介に入る前に時間切れになってしまったので、あとで書き足します。
いったん、ここまで。
投稿:2023.10.18
Photo by Nicola-topic on Unsplash
続きは、こちらへ。
コメント