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イエス聴くなら、このアルバム10選

音楽

還暦を迎えるオヤジが昔好きだったアーティストを今の感覚で聴き直す、というテーマでこれまで、キングクリムゾンピンクフロイドジェネシスを書いたので、次はイエスです。
そうです。プログレッシブ・ロックが好きなのです。

イエスは 1969年から現在(2023年)まで、半世紀にもわたって活動しているバンドで、これまで数多くの作品を発表しています。ただ、ライブやベスト盤も多くて、それらを除くとスタジオ盤はだいたい20枚ほどです。

1970年代には隆盛を誇ったプログレッシブ・ロックという音楽ジャンルでしたが、80年代以降は、かつて評価を確立した人気バンドでさえも変化する音楽潮流の中で生き残るために様々な葛藤を繰り返すことになりました。
さすがに活躍していた時期から半世紀も経とうという現在ですから、バンドメンバーには鬼籍に入った方も少なくありません。
新たな潮流としてドリーム・シアターを筆頭とするプログレッシブ・ハードなバンドが活躍しているのは嬉しいことです。(彼らも既にベテランですが・・・。)
そうした時代にあって、未だに現役バリバリなのがイエスです。
2023年の春には力の入った新作「Mirror To The Sky」を発表しています。

イエス進化史

1960年代末にバンドを結成したイエスは、その初期メンバーからして素晴らしい顔ぶれでした。
クリス・スクワイア(ベース)、ジョン・アンダーソン(ボーカル)、ビル・ブルーフォード(ドラム)という 3人にトニー・ケイ(キーボード)、ピーター・バンクス(ギター)という編成で、最初のアルバムが作られます。
時代的にはトレンドであったサイケデリックなアート・ロックをベースに活動がスタートしたわけですが、実は最初の頃はジャズ指向だったという話しもあります。
クリス・スクワイアとビル・ブルーフォードの演奏が際立っていた時期です。

●Yes イエス・ファースト・アルバム:イエスの世界 (1969年)
●Time and a Word 時間と言葉 (1970年)

プログレッシブ・ロックというジャンルが定義されつつある中で、その代表的な作品を生み出すのが1970年代の初期です。
重要なメンバーの加入があり、バンドは曲作りも演奏も数段クオリティが上がります。
この時期をして、イエスというバンドは生涯の名声と評価を獲得したと言っても間違いではないでしょう。
「サード・アルバム」から加入したスティーブ・ハウ(ギター)は、イエスにクラシックでアコースティックなサウンドを加えるだけで無く、様々な音楽表現の幅を提供しました。
「こわれもの」から加入したリック・ウェイクマンは、音楽に叙情性とシアトリカルな展開をもたらし、イエスをプログレッシブ・ロックの代表格に引き上げることに貢献しました

●The Yes Album イエス・サード・アルバム (1971年)
●Fragile こわれもの (1971年)
●Close to the Edge 危機 (1972年)

「危機」での大成功の後、ドラムのビル・ブルーフォードが脱退したことは残念でした。
代わって加入したアラン・ホワイト(ドラム)は、その後のイエスを長く支える貢献者なのですが、個性には乏しく、個人的な思い入れを持てませんでした。
また、花形プレーヤーだったリック・ウェイクマンも、「海洋地形学の物語」で脱退します。
後任のパトリック・モラーツ(キーボード)は自己主張のあるプレイヤーでしたが、プログレっぽさが弱かったせいで、当時は良さを理解できませんでした。

それにしても、この時代、重要なメンバーの交代や大胆な音楽的な変化を行いながらも、毎年、コンスタントにハイ・クオリティな作品をリリースしていた創造力とエネルギーには驚きます。

●Tales from Topographic Oceans 海洋地形学の物語 (1973年)
●Relayer リレイヤー (1974年)

1970年代後半になると、プログレッシブ・ロックというジャンルの人気は衰えを見せ始めます。
キング・クリムゾンは「レッド」(1974年)で融点に達してしまい休息に入りますし、ピンク・フロイドは「炎」(1975年)を発表してロジャー・ウォータースの自意識が肥大化する移行期にありました。
名作・名盤と言える作品が数多く生まれていた時期ですが、音楽のトレンドはメロディック・ロック(日本では産業ロックと括られたりもします)になっていました。
演奏時間の長い組曲や難解で哲学的なテーマは、この時代のユーザーの求めとマッチしなくなっていたのです。

そんなタイミングでイエスは大きな方向転換をして、ファンを驚かせます。
ジャケットのデザインが、ロジャー・ディーンの幻想的なイラストから未来的な写真をコラージュしたヒプノシスに変わったことは象徴的でした。

全2作とはうって変わって、シングル・ヒットを狙えそうな、楽曲のコンパクト化が始まります。
内情は分りませんが、キーボードにリック・ウェイクマンが一時的に復帰したことは、個人的には嬉しいニュースでした。(また直ぐ脱退しますが。)

●Going for the One 究極 (1977年)
●Tormato トマート (1978年)

前作での方向性の変更は、この後のバンドに大きな影響を与えました。
そして何故かこの方向性を推し進めすぎてしまいます。
もうプログレッシブ・ロックを捨てる決意に迷いは無さそうです。

リック・ウェイクマンの脱退は驚きませんでしたが、ここでイエスの屋台骨でもあるヴォーカルのジョン・アンダーソンが脱退してしまいます。
代わりにバンドに入ったのは、トレバー・ホーン(ヴォーカル)とジェフ・ダウンズ(キーボード)でした。
この二人は、少し前に大ヒットを飛ばしたエレクトロ・ポップ・バンド、バグルズのメンバーでしたので、新興企業のバグルズが老舗企業のイエスを乗っ取って創業社長を追い出してしまったように見えました。
「古い思想ではダメです。顧客のニーズに応えて、我々は生まれ変わるのです。」とでも言うような新たな企業理念が聞こえてきそうですが、逆に古くからのお得意さん離れを起こしてしまい、成功したとは言えませんでした。
実際のところ、新メンバーは過去のイエスのファンだったはずで、むしろ前作よりもイエスらしいと感じられるところも多いので上手くいかなかったのは残念でした。
時代は80年代に入っていました。

●Drama ドラマ (1980年)

このあたりから、メンバー交代が頻繁になり、イエスとはどういうバンドなのか捉えにくくなります。
私自身、バンドのファンとして何でも買って聴くのでは無く、作品毎に評価する感じになります。

もうダメかなと思っていたら、ジョン・アンダーソンがバンドに戻り、どこから見つけてきたのか、トレバー・ラビン(ギター)というマルチなアーティストが加わり、バンドは起死回生のヒットを放ちます。
「ロンリー・ハート」(1983年)です。
この曲は、米国はじめ、世界中でチャートのトップを獲得するほど売れました。

前年(1982年)には、スティーブ・ハウが移籍したエイジアがデビュー作で大ヒットしていましたので、見事に流れに乗った感じです。
しかし、私はこれをイエスとは認めたくないという気持ちで遠巻きに見ていました。

●90125 ロンリー・ハート (1983年)
●Big Generator ビッグ・ジェネレイター (1987年)

1980年代末に、イエスはまたジョン・アンダーソンが脱退して、別バンドを組みます。
それがABWH
ジョン・アンダーソン、ビル・ブルーフォード、リック・ウェイクマン、スティーヴ・ハウという、イエス黄金期のメンバーで構成されたバンドで、良い作品を残しましたが、イエスとは名乗りませんでした。

『ANDERSON BROFORD WAKEMAN HOWE』 ABWH
『閃光』 アンダーソン・ブルーフォード・ウェイクマン・ハウ 1989年 「ウチのオカンが、昔聴いてたバンドの名前を忘れたらしいねん。」『そんなら、一緒に考えたげるがな。なんかヒントは無いんかいな。』「...


その頃、イエスを名乗っていたのは、クリス・スクワイア、トニー・ケイ、アラン・ホワイト、トレヴァー・ラビンからなるバンドでした。
ファンの間では「西海岸イエス」「90125イエス」などという呼ばれ方をしています。

1990年代、2000年代と新作アルバムを発表し続けますが、もうメンバーが代わってもあまり話題にもなりません。
イエスイエスであるアイデンティティが弱いので、ファンとしてはこのバンドを特別に応援する意欲が沸きません。

2015年にオリジナル・メンバーのクリス・スクワイアが他界すると、創設メンバーはいなくなり、初期からのメンバーというとスティーブ・ハウとアラン・ホワイトになりますが、2022年にアラン・ホワイトも亡くなり、現在(2023年)はスティーブ・ハウだけになっています。

若いメンバーが悪いわけではありませんが、”テセウスの船”はオリジナルであり得るのか、という気持ちにもなります。
一括りにせず、ちゃんと評価すべきなのですが、ちょっと手を抜きました。

●Union 結晶 (1991年)
●Talk トーク (1994年)
●Keys to Ascension キーズ・トゥ・アセッション (1996年)
●Keys to Ascension2 キーズ・トゥ・アセッション2 (1997年)
●Open Your Eyes オープン・ユア・アイズ (1997年)
●The Ladder ラダー (1999年)
●Magnification マグニフィケイション (2001年)
●Fly from Here フライ・フロム・ヒア (2011年)
●Heaven & Earth ヘブン&アース (2014年)
●Fly from Here : Return Trip フライ・フロム・ヒア:リターン・トリップ (2018年)
●The Quest ザ・クエスト (2021年)
●Mirror to the Sky ミラー・トゥ・ザ・スカイ (2023年)

さて、こんな風にイエスと接してきた私が選ぶ、今の時代に若い方に聴いて欲しいイエスのスタジオ・アルバム(ライブ盤・ベスト盤を除く)のベスト10を挙げてゆきます。

今聴くならトップ10

1.『Close to the Edge:危機』(1972年)

イエスは長いキャリアを持つバンドで、様々な変遷を辿っていますので、リスナーの世代によってバンドの印象や好みは分かれるかもしれません。
しかし、このアルバムを否定する方はイエスのファンとは言えないのではないかと思います。

アグレッシブでありながらハードロックとは異なり、静謐でありながらアンビエント・ミュージックとも異なる、アーティストが音楽を奏でることで物語を紡ぐ、まさにプログレッシブ・ロックという作品です。
それほど、イエスイエスである理由が凝縮された作品であり、ロック史に残る名盤です。

タイトル曲「Close to the Edge」の中盤、静けさの中から立ち上がるジョン・アンダーソンの歌声とリック・ウェイクマンのキーボードは陶酔ものです。
続く「And You and I」で、もう一生ものの名作決定です。
このアルバムを1位に選出することに迷いはありませんし、おそらくどこからも異論は出ないでしょう。


2.『Going for the One:究極』(1977年)

演奏はハイテクで、テーマは哲学的で、構成は複雑で、というプログレらしさとは一線を画しながら、プログレッシブ・ロックの叙情性や感動は十分活かされたメルヘンチックな作品です。

収録曲の出来が全て良くて、捨て曲なしの充実ぶり。
各曲に陶酔感のあるクライマックスが用意されています。
こういうイエスをもっと聴きたかったのですが、似たタイプの作品は作られませんでした。
それだけに貴重であり重要な作品ですが、他に似た作品が無いにもかかわらず、このアルバムはイエスらしいと言えるのです。

デラックス・エディションでは、当初のアルバムに無かった曲が7曲も追加されて、アルバムの完成度を台無しにしてくれています。
このアルバムは5曲で完璧だったのに、バカなことをしたものです。


3.『Fragile:こわれもの』(1971年)

実は個人的には思い入れが少ないのですが、間違いなく名盤です。

メンバーの個性がぶつかり合って、もの凄いエネルギーを発散しています。
バンドとして制作した曲の他に、メンバー各自が持ち込んだ作品がそれぞれ採用されているそうです。
アルバム制作のトータル・コンセプトよりも、抑えきれない創作意欲を詰め込んだということなのでしょう。
そのせいか、アルバムとしてはまとまりが無いように感じますが、こんなに凄いバンドがあるのかという驚きとともに高評価にならざるを得ない作品です。

プログレは必ずしも情感に訴えるだけでなく、迫力や技巧的な魅力があることを叩きつけられます。
これこそがイエス・サウンドだという、彼らの代表作です。


4.『Time and a Word:時間と言葉』(1971年)

作品の出来としては荒いので、おそらく一般的な評価は高くない作品かもしれません。
でも個人的な好みでこの順位です。

プログレッシブ・ロックというジャンルが確立される前の作品で、初期のピンク・フロイドムーディ・ブルースなどもこんな感じでした。
ただ、個人的にはこういう少しサイケデリックな味のあるアート・ロックは好きなジャンルですし、収録曲はどれも個性的で魅力を感じます。

スティーブ・ハウが加入する前ということもあり、緊張感のあるアンサンブルに興奮するということは少ないのですが、クリス・スクワイヤのベースはブンブン鳴ってますし、ビル・ブルーフォードのドラムはロックな感じでイケてます。
後年のライブでも演奏される名曲が揃っていて、中でもタイトル曲の「Time and a Word」はプログレ好きで無くても気持ちいいと感じる曲でしょう。


5.『Relayer』(1974年)

初期のイエス・ファンの多くはリック・ウェイクマンのキーボードが好きだと思うのですが、このアルバムはパトリック・モラーツ(キーボード)にメンバー・チェンジして制作されました。
リック・ウェイクマンはこの頃、ソロで「ヘンリー八世の六人の妻」という傑作アルバムを出して、勢いに乗っていました。
その出来が良かっただけに、イエスのファンとしては少々複雑な思いでこのアルバムを聴きました。
「これはこれで悪くない。いや、むしろけっこういい。でもなんだか曲は魅力が・・・。」
鬱屈しています。

時間が経ってみれば、やっぱり悪くはありません。
今の耳で聴くと、音楽の迫力も叙情性もバランスが良いですし、「Sound Chaser」や「Soon」は、最近のイエスにつながるものを感じます。

当時、リック・ウェイクマン好きだった私は、あまり聴いていなかったのですが、改めて聴き直して評価が上がった作品です。


6.『The Yes Album:サード・アルバム』(1971年)

現在のイエスを支えているギターのスティーブ・ハウが加入した、ロック色の強いアルバムです。
演奏の緊張感や音楽的なスケールは格段に上がり、このアルバムでバンドの形ができあがったと言えるでしょう。

サイケデリックなアート・ロック・バンドのひとつから、新しいジャンルの何かが生まれつつあるようなプログレの萌芽も感じます。(この後の作品を知った上で言っているわけですが・・・。)

「Starship Trooper 」「I’ve Seen All Good People」など、その後も演奏し続けられるイエスの代表曲は、このアルバムに収録されています。
名盤と言えるかどうかは微妙ですが、イエス好きなら必ず聴くアルバムでしょう。


7.『Tales from Topographic Oceans:海洋地形学の物語』(1973年)

レコードは2枚組で全4曲。中学生だった私には大変な出費でした。
何度も聴いて、何度も寝落ちしました・・・。

なんでこんなに上位なのかと言えば、これもイエスだから、です。
こういう音楽をやっちゃうバンドなわけです。
この時代、長尺の曲は少なくありませんでした。
プログレッシブ・ロックのバンドでなくても、ライブで延々とインプロビゼーションを繰り広げるなんてことは珍しくありませんでした。
なので覚悟はできていたのですが、若い頃はやっぱり受け止められませんでした。

この順位にしているのは、「これもイエスらしさだよなぁ」と思ったからですので、上位のアルバムを聴いて、哲学性や演奏の巧みさなどに魅かれた方だけ聴いていただければよいと思います。
確かに長尺ですが、曲は大きな展開が用意されていたりして、ダラダラしているわけではありません。
印象的なパートもありますし、あまり構えずに聞き流しておくのも良いでしょう。
どんな聴き方、どんな部分を聴いていても、それはイエスだと分る個性で彩られています。


8.『Mirror to the Sky』(2023年)

2023年時点で最新のアルバムです。
スティーブ・ハウ(ギター)、ジェフ・ダウンズ(キーボード)、ジョン・デヴィソン(ヴォーカル)、ビリー・シャーウッド(ベース)、ジェイ・シェレン(ドラム)という編成。
基本的には前作「クエスト」を踏襲した作りだと思うのですが、今回は気に入りました。
昔懐かしいイエスのような音がします。

『Mirror To The Sky』YES
『ミラー トゥ ザ スカイ』イエス 2023年 イエスが、前作『The Quest』から1年半というインターバルを置いて新作をリリースしました。2023年の初夏の頃、リリースされて間もなく聴いたのです...

かつてのプログレッシブ・ロックバンドの高齢化が進み、過去曲を焼き直した方がオールド・リスナーには受け入れられるという現実がある中、さらに進化を志す生きざまには感服します。
イエスはもう単なるバンドでは無くて、歌舞伎やサーカスのような芸能のジャンルであって、誰一人メンバーがいなくなっても、そのコンセプトが受け継がれる限り続くのだと思えてきました。


9.『The Ladder』(1999年)

「結晶」(1991年)で、これまでバンドにかかわったメンバーを集めてみたところ、全く結晶せずにバラバラだった反省を込めて、主要メンバーが集まり直します。
試行錯誤で作品を発表しているうちに、なかなか良いものができました。
メンバーが固定化された成果がやっと出たのが「ラダー」でした。

ジョン・アンダーソン(ボーカル)、クリス・スクワイア(ベース)、スティーヴ・ハウ(ギター)、アラン・ホワイト(ドラム)という古参のメンバーに、かなり定着したビリー・シャーウッド(マルチ)と新規のイゴール・コロシェフ(キーボード)の6人。

『THE LADDERS』 YES
『ラダー』イエス 1999年 私が個人的に受け入れなかった80-90年代イエスですが、90年代の最後にやってくれました。これは傑作なのではないでしょうか。 1曲目から10分弱の長尺曲を堂々と展開。その...

単純に良い曲があることと、古参メンバーの頑張りが感じられて、イエスらしいアルバムになっています。
この方向で良かったのに、なぜかビリー・シャーウッドとイゴール・コロシェフが辞めてしまって、この後はまた代案を模索することになります。


10.『Fly from Here : Return Trip』(2018年)

ここは迷いました。
「Magnification」(2001年)は悪くありませんでしたので、最初はこちらがランク・インしていました。
キーボードを失って、その代わりにオーケストラを起用したことが、このアルバムの成功要因でした。イエスの音楽とオーケストラの相性が良いのは誰もが納得するところだと思います。
でも、私の中ではそれが最後までひっかかってしまいました。
イエスらしさという点においては、これは違うのではないかと思えてしまったのです。

結局、迷った末に挙がったのが、この「フライ・フロム・ヒア:リターン・トリップ」でした。
キーボードにジェフ・ダウンズ、プロデューサーにトレバー・ホーンの名前があります。
そう、「ドラマ」(1980年)のメンバーの再来です。

在りし日のイエスやプログレッシブ・ロックへの思い入れが強く残っていた当時は評価を獲得できなかったバグルス・イエスでしたが、本来的には相性は悪くなかったのです。
結局このアルバムでもキャッチーなヒットは作れなかったものの、往年のイエスの良さに現代性を加えてくれています。(そうは言っても、トレバー・ホーンもすでに高齢ですが・・・。)
ただ、ボーカルについては意見が分かれるところでしょう。

番外.『ABWH』(2001年)

このバンドをイエスとカウントするなら、5位以内に入れていたと思います。
初期のイエスと中期のイエスとエイジアなどを上手く混ぜ込んでいます。
楽曲はバラエティに富み、キャッチーさもあって聴きやすく作られています。
同時に活動していた西海岸イエスの方が当時はトレンドな音だったのですが、その分、今聴いてみると、こちらの方が古さを感じずに聴くことができます。


番外.『Yessongs』(2001年)

ライブを入れると選択肢が増えてしまうので避けたのですが、初期のこのライブは、ハイテクで、エネルギッシュで、アーティスティックなイエスが詰まっています。
私のランキングに共感していただける方には必聴の作品です。

イエスはロック史に名を遺す素晴らしいバンドですし、私の生涯ベストアルバムを選ぶとしたら今回のトップ2は外さないというほど思い入れもある好きなバンドです。
曲作りや演奏はハイクオリティで、時代ごとに試行錯誤を繰り返し、変化を恐れずにバンドを継続させています。
ですので、どれが良いとか悪いとか優劣をつけるのがおこがましいことだというのは重々承知しています。
ただ、50年近くバンドを追ってきて、それなりに出費もしてきたファンからすると、本当に素晴らしい作品とそうでないものの差が激しすぎな気はしてしまいます。
大ヒット曲こそありましたが、80年代、90年代はイエスと名乗らなくても良いのではないかとさえ思えますし、2000年代以降は好きな人だけが聴けばいいバンドになっています。

今までイエスを知らなかった方には、まずトップ3だけでも聴いていただけたらと思います。
そしてロック・ミュージックが好きな方にとっては、このトップ3は必聴です。
もしも気に入っていただけたら、次は番外の2枚を聴きましょう。

長く現役を続けるレジェンド・クラスのバンドに失礼ですが、それほどまでに70年代のイエスは別格だったということです。
トップ3のアルバムは、死ぬまでにあと何度も聴きます。

投稿:2023.11.20

編集:2024.2.28 アルバムのリンクをAmazon からSpotifyに変更しました。

jonathan-borba-unsplashの写真に感謝します。

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