『ライブ・モスクワ 09-XI-90』 エイジア 1991年
1982年のエイジア結成は、プログレ・ファンとしては衝撃でした。
なにしろ、メンバーが、ジョン・ウェットン(Vo・B)、スティーヴ・ハウ(G)、カール・パーマー(Ds)、ジェフ・ダウンズ(Key)です。
キング・クリムゾン+イエス+ELPですし、ジャケットのアート・ワークはロジャー・ディーンとなっているわけですから、期待しないではいられません。
しかし、いざ聴いてみるとそのファースト・アルバムは、あっけらかんとしたポップ・ロックでした。
しかも、これは当たりました。
流行りの音色に分厚いサウンド、耳馴染みの良いメロディで、シングル・カットされた曲が大ヒットしたのです。
当時、シリアスなプログレものを期待していた私としては、望んでいた感じでは無かったことに困惑して、素直な評価ができなかったのを覚えています。
この時代、プログレファンは意気消沈していたかもしれません。
少し前にELPは『ラブ・ビーチ』を制作したバハマで頭をやられ、キング・クリムゾンは『ディシプリン』でエイドリアン・ブリューが踊りだし、イエスは『ドラマ』でバグルスを取り込んだつもりが取り込まれてシンセ・ポップバンドになってしまっていました。
耽美的な響きや精神性はどこへ行ってしまったのか、まさにスターレスだと。
(改めて聴き直したら、どれもそんなに悪くないのですが、当時はそんな気持ちだったということで、ご勘弁を。)
エイジア『ライブ・モスクワ 09-XI-90』は、デビューから10年近くたち、ギターがスティーブ・ハウからパット・スロールに入れ替わっていた時期のライブです。
ヒット曲が網羅されているうえに、キング・クリムゾンの『スターレス』『ブック・オブ・サタデー』というオマケまで入っているので、お買い得感はありますが「いったい誰が買うんだろう」という内容でもあります。(私は買いましたが、、、。)
個人的には、こういうところでキング・クリムゾンを演って欲しくは無かったと感じてしまいました。
ライブとしての高揚感も乏しく、シンセ・ポップに歪んだギターをトッピングしたファースト・フードかファミリー・レストランのようなもの、というのは言い過ぎでしょうか。
エイジアは、良い曲を作り、良い演奏とアレンジを聴かせてくれた優れたバンドです。
でも、エイジアを聴くならファースト・アルバムだけで十分ですし、なんならベスト盤という選択肢もあるでしょう。
改めて聴いてみると、かつての時代とのマッチングが上手かったがために、逆に古さを感じてしまいます。
なんだか残念な気持ちになってしまいました。
Spotify に、このライブ盤はありませんでした。
貴重盤ですね。
投稿:2020.3.28
修正:2023.10.27
Photo by Ivan Shilov – Unsplash
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